人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

[古日記]No.23 H.5.6.11~H.?.12.17②

団地に引っ越しが決まり、まだ何もないその部屋を見に行った。

5階の角部屋。

日当たりが抜群に良く、感動する。

これまでのアパートは東向きで、昼前にはもう部屋の中は薄暗くなっていたのだ。

キラキラと輝くようなボロ団地に、心は踊った。

しかし、エレベーターのない5階である。

この後スキーにハマり毎週のように行くようになるのだが、荷物運びが地獄であった。

特に帰りは娘ぶー子が眠りこけているので、これもまた荷物化していた。

タイヤ交換も大変であった。

古い、というのも色々とあった。

洗濯機の排水口がないので、洗濯の度に排水ホースを風呂場に渡さなくてはならない。

間抜けな私は2度、これを忘れて水漏れさせたことがあったEE:AE4E6

お風呂もトイレも、床は丸いタイルだ。

そしてとても狭かった。

窓もサッシになっておらず、開け閉めの度にガラガラという音を立てた。

全て和室で洒落っ気も全くなく。

ベランダにはハトが来た。

生き物は好きなので最初のうちは喜んでいたが、そのうち巣を作ってしまった。

これが、毎朝うるさいEE:AEB64

フンやら羽やら不潔な感じもあり、巣立ったらそれ以降は「敵」となってしまった。

ハトは一度巣を作るとそこにまた繰り返し作るようになるのか、その後も何度も巣作りにやってきた。

早い段階で巣を撤去することで卵を産むことはなかったが、もうそれは頻繁で、ウンザリしてしまった。

ベランダにネットを張る。

・・・時々引っかかっていて、色んな意味で泣けた。

こんな感じではあったが、概ね満足はしていた。

日当たりの良さは気分を良くしてくれたし、家賃は安い。

部屋は洋室っぽく自力でリフォームのようなことをした。

それはそれで、楽しかった。

私達はまだ若かったのだ。

デメリットを楽しみに変えることができた。

もう次への引っ越しが近くなっていた頃だったと思うが、3階の住民がおかしくなって怖かったことがある。

男性の一人暮らしで、もともとは家族がいたのか、時々女の子が遊びに来ていたように思う。

挨拶をするぐらいで、全く繫がりはなかった。

それがこうして記憶に残っているのは、異変があったからである。

ある日、彼の部屋のドア一面に、サインペンで落書きがされてるのを見た。

まるでドアを封印するかのように、ドアと壁の境い目に線がたくさん書き殴られていたのである。

またある日は、たまたま窓から外を見ていたら、下にその彼がウロウロしていたのだ。

詳しいことは忘れたが、その足元だったか彼の部屋のドアの前だったかに、線香が束になって焚かれていた。

何だか怖くなってくる。

またある時バス停で見かけた彼は、明らかに挙動がおかしかった。

バス停にいるのだが、バスを待っているのではなさそうだ。

ただただウロウロとしていて、そのウロウロも普通のウロウロではない。

うまく言えないが、「挙動不審」そのものだったのである。

その後引っ越してしまったので、その先は分からずじまいだ。

それまでこんな彼を見たことはなかった。

彼に何があったのかは分からないが、薄気味悪いと思うと共に、気の毒にも思った覚えがある。

彼をこんなにしてしまった何かが、彼の身の上に起こったのかもしれないと。

それはその頃、私にも起こっていた異変と重なっていたからかもしれない。