人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

アシナガバチの郷里

思いがけず体調が良かったので、庭に出て草むしりをした。

もう毎日入院患者のように生活していたので、この夏の庭は投げていたのだ。

雑草は膝の辺りまで伸び、猫じゃらしが稲穂のように風に揺れていた。

最後に庭に出たのは、6月の中旬だ。ハチが出た。

また今年もアシナガバチが巣作りを始め、これをどうするかちょっとした問題になったのだ。

共存か撤去か。

生かすか殺すか。

正直、ハチの逆襲を恐れながら撃退する自信も勇気もなく、刺激しなければ大丈夫というので私は共存に傾いていた。

できればいなくなって欲しいが、そのためには自分たちで何とかしなくてはならないのである。

ハチは怒ると刺すらしいじゃないかEE:AEB64あんなに小さくても怖い。

ところがある日、ダンナが「ハチジェット」というスプレーを買ってきたのだ。

こ、これをハチ目がけて噴射するのか。怒るぞきっと。

一度はダンナが遠くから噴射した。

遠かったので、当たったのかどうかも分からない、と言った。

確かめようにも、怒り心頭のハチと出会ってしまうのが怖い。

結局その日はそのまま過ぎた。

翌朝まだ早い時間に、私も巣に向かって吹き付けてみた。

やはり当たったのかどうかは分からない。向けて噴射しただけだ。

そして怖くて確かめられなかった。

これがハチとの戦いの最後である。

なぜならその後私は体調不良を理由に庭の一切を投げたからである。

それ以来であった。

少々気が重かったが、そんなに悪いヤツではないことはここ数年で分かっている。気がつかないで共存していた年もあったぐらいだ。

・・・と言い聞かせて庭に出た。

知らん振り知らん振り、極めて知らん振り。敵意がないことを分かっていただきたい。

見た限りその辺を飛び回っている様子もなく、私もだんだん大胆になっていく。

いよいよ巣のあるあたりへ来ると、意を決して立ち上がって巣を見てみた。

あったEE:AE4E6

もしかしたらハチジェットにやられて平和が訪れていないかと期待していたのだが、やはり彼らはいたのだ、ガックリ。

しかも巣は大きくなっていた。

もういいよ、負けた。幸せになってくれ。その代わり私の幸せも願ってくれ。

あわよくば巣のそばにあるエニシダの枝も切ってしまいたかったのだが、しばらくおあずけだ。まぁある意味ラッキー。

しかし、彼らはいつまであそこにいるんだろう??冬にはいなくなってた気がする。

そしてどこへいくんだろう。

ってか何やってるんだろう??どうせいなくなるのに、あんなところで何してる??

     EE:AE549アシナガバチの一生EE:AE549

春、女王蜂が巣作りを始める。

1~3個ぐらい部屋ができると、卵を産む。

その後は部屋を作りながら卵を産み、卵がかえって幼虫になったらエサを与える。

エサは、毛虫やイモムシを団子にするそうでーす。そんなところから、益虫とも呼ばれている。

幼虫が繭になり、成虫になったら、今度は働き蜂として部屋作りやエサ運びをする。ちなみに全部メス。

こうしてどんどん巣は大きくなり、働き蜂は増えていく。

ある時期になると、突然オス1匹と次世代女王蜂が生まれる。

そして冬になる前に、次世代女王蜂を残して全部死ぬ。

・・・というのがアシナガバチの一生だそうな。

こんな話を読んでしまったら、始末できないじゃないかEE:AE5B1

・・・で、生まれ故郷のここに戻ってくるんだろうね、女王蜂は。

どうりで毎年巣ができる訳だ。

困ったもんだね、どうするかEE:AE5B1