人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ネズミ治療・2

昨日のつづきになっております*

 

 

ダンナは呆気なく工具箱の場所を教えてくれたのだ。

そして帰宅したダンナは風邪を引いて非常に無口であった。

マウスどころではないのか、それとも喋るのも面倒なのか。

マウス分解について調べるのに時間を食ってしまったので、まだドライバーは出していなかった。

ダンナが帰ってきたのならダンナにやってもらおうとも思ったのだが、どうもそんな雰囲気ではない。

 

「これ、分解しようと思うヨ。」

ダメと言うはずのダンナは、「うん。」とだけ言ったので肩透かしだ。

「いいの?私がやるんだよ??」

「どうせ壊れてるしね。」それは私が言うはずであった。

どうやらダンナはもう、このマウスを見限っているようである。

ならば遠慮なく私がいじくり倒してやろうじゃないか。

マウスを直すなんて、スゴイゾー!!

マウスを直したんだなんて、人に言ってみたい。

ダンナも見直すはずだ。絶対にできないと思っている。それどころか、完全に壊し切ると思っているだろう。

壊れている箇所は、カバーを外した時に分かった。

後はあのカチッてなるところを然るべき場所に戻してあげればいいのである。

ついでにちょっと掃除もしちゃおう。マジ~~!?

 

具合が悪い、と言ってサッサとダンナが寝てしまってから、私はドライバーを工具箱から出してきた。

ものすごく小さなマイナスドライバーのセットだ。その幅、3ミリから0.9ミリ。

これだけ揃っていれば、Y字だろうがK時だろうが、どこかに差し込めるはずである。

 

うわ~~、ドキドキするねっ。

壊していいって言うんだよ!?何やってもいいって言うんだよ!?

私はひとつの命を自由にする権利を貰ったが如くの傲慢に酔いしれていた。

どれ。

ネットで調べた通りに裏側のパッドをはがすと、2ヶ所、ネジが現れた。

もともと見えていたのと合わせて3つ。

そのうちの1つに、ドライバーを差し込んで回してみる。

 

・・・回らん。

 

サイズをいろいろ変えてみたが、ビクともしない。

あまり力任せにやると、ネジがバカになりそうで怖い。

 

3つが3つとも回らなかった。

私の挑戦は、こんなところで終わってしまうのか。

これならネジがバカになった方がまだ「やった感」がある。

こうなったら全力で回してやるか。

・・・の前に、一応調べておこう。ネジってどっちに回すのかを。

 

逆に回していた。こんなんだから、何事にも信頼されないのである。

 

改めてネジを逆に回してみたら、3個とも問題なく取れ、上部を外すことができたのだ。

ここからだ。

問題の部分は、・・・の前に、汚いね。猫の毛があちこちにたっぷり詰まっている。

私はピンセットで、毛の塊を丁寧に取り出していった。

特にホイールの軸の部分に、グルグルに絡み付いている。

あまりに分厚く絡み付いていたので、ちょっとやそっとでは取れやしない。

少しずつ、丁寧に取っていくのだ。

この作業、掃除機のローラー部分の掃除に良く似ている。

そういえば、掃除機の掃除も好きであった。

私は楽しんで、マウスの掃除をした。

ところで、次に考えられるオチは、掃除に夢中になって部品を壊すことだ。

壊れはしなかったが、ホイールが外れた。

そもそも外せるものだったようで、かえって簡単に毛だまりを取り除くことができたのだ。

 

あらかたきれいになったら、いよいよ修理である。

壊れているのは左クリックのスイッチ。カチッという音すらしない。

見たところ、そのスイッチ部分が陥没しているようで、見えなくなっていた。

 

 

左側が正常な右スイッチ。黄色い部分がスイッチ部分になっている。

対する向かって右は、スイッチ部分が見当たらないのがわかるだろう。

このスイッチのケースの中で、外れているに違いない。

なので、まずはこのケースを開けることが先決だ。

 

ところが、開けるとっかかりがない。

上下2層になっていて外れる構造にはなっているのだが、ピッタリとかみ合っているのだ。

これが大きければ、かみ合っている部分を押したり爪で境い目から外したりできるのだろうが、長さ5~6ミリの小さな部品である。隙間もかみ合わせも極小単位である。

 

爪ではどうにもならないので、ドライバーを使ってみた。しかしドライバーが強すぎて、部品が負ける。ほじくったところは、簡単に削れてしまうのだ。

そこで私は思い出した。壊してもいい。

この結合部分をつぶして開けてしまえ。

最終的には閉まればいいのである、ガッチリかみ合っている必要はない。

そして一番小さなドライバーで、結合部分をくりぬいてしまった。すると、片側が開いたのだ。それをきっかけに、上部が外れた。

 

おお、いいぞ!!分解万歳、面白いな!!

注意深く中をのぞいて見ると、1ミリほどの小さな小さなスイッチが外れていた。

これをふたの穴の部分にはめ込み、ふたをもとあったように閉める。

 

・・・直った。

一見、直ったぞ。

簡単そうに書いたが、スイッチの向きが逆だったり、中の部品がずれていたり、それなりに色々あった。

あったが、「あと一歩」という手応えがあり、私はとても興奮していたのだ。

 

上部カバーを元通り閉め(一度はホイールを戻し忘れた)、左スイッチを押してみると「カチッ」と音がした。

マジかよ~~~!?これホントに直ってるかもよ!?

 

PCの電源を入れる。

そしていよいよ。

 

 

直っていた。

そればかりか、壊れて反応しなくなっていたスクロールもできるようになったのだ。

若い頃は色々あったが、私はこの道に進むべきだったのだろうか。

こうなったら音楽室の壊れたエアコンも、分解してやろうじゃないか。

 

 

これが昨日の夜の話である。

そして一夜明けて今。

左クリックの有効率は、ゴキゲンによりばらつきがある事が分かったのだった・・・。