人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

6年目のうぐいす

ホワイトリカー、二本。3.6ℓの焼酎だ。

対するりんごは14個。

余りそうなので、またカレーにINかEE:AE4E6

やはり今年も、りんごパニックである。

すでに2個腐らせたが、このままでは残り14個も腐らせてしまうだろう。

毎年その消費に頭をかかえるが、考えてみれば、消費方法はもう決まっていたのであった。

りんご酒。

りんごジュース作りに失敗し、ならば酒という願ったり叶ったりの方法を思いついたのは2009年の冬のことだ。

しかし、なぜ我が家にまだりんご酒はなく、去年などはクソ甘いカレーなどを作ることになったのか。

容器がなかったのである。

正確にいうと、容器はあるのだが、中身が入っていたのである。

それは、2005年に作った梅酒だ。

1年経った時点で、すでに飲めるかどうか不安で見て見ぬふりを始めたのだが、梅酒は1年どころか、保存状態が良ければ何年でも置いておいて良かったらしいのである。

あの時点で飲んでいれば、こんな事にはならなかっただろう。

しかし飲まなかったので、捨てるにも惜しく飲むのも怖く、今日まで来てしまったのであった。

問題は「保存状態」だ。

何も考えずに音楽室に放置していたが、日当たり抜群、我が家で一番暖かい場所に6年。

本来は「冷暗所に保存」となっていた。

色はうぐいすのような淡い緑。

怖かったのだ。

だから飲めなかったのだ。

無理して飲まなくてはならないような事態にはならなかったので、今日までそのまま置いてあったのだが、りんご酒を作るならあれを空けなくてはならない。

大きな容器にいっぱいの梅酒(の変質したと思われるもの)だ、飲まずに捨てるのはためらわれたが、このまま一等地に保存しておいても仕方がないのである。

フタを開けて、新しい生ゴミ袋に口を向ける。

・・・待てよ?

確かに保存状態は悪かったが、一度も口を開けてないのである。

意外ともの凄く美味しくなってたりするという事はないのか?

そもそも肉野菜は平気で古くても食べるのに、なぜ酒を捨てる?

まずは一口でいいのだ。それなら腹すら壊すまい。

私はフタを開けた容器に、大さじを入れてすくってみた。

酒じゃないか。いけ。

ゴク。

・・・なんじゃこりゃ。

不味いか旨いかの覚悟をしていたので肩透かしを食ったが、飲めないものではなかった。

ただ、全く美味しくない。間の抜けた味だ。

アルコールはどこかから飛んだのか、ただの梅の汁である。甘みもない。

アルコールの飛んだただの梅汁など、不味い酒よりタチが悪い。

躊躇なく生ゴミ袋に中身を空けていったが、ゴロンゴロンと入っていく梅はもうホロホロに柔らかくなっていて、どんどん潰れていった。

ごめんよ・・・。今度こそ、りんごでひと花、咲かせてみせるよ・・・。

ついに梅酒物語のエンディングである。