悪夢だ。
絵に描いたような悪夢を見た。
あの感じ、目が覚めても残る、妙にリアルな恐怖感。
夢で良かった。
心から思った・・・。
私はステージに立っていた。
メンバーはセッティングをしている。
パンクバンドだ。
私達はトリである。
心の中の攻撃的な部分を刺激して、その時に備える。
弾ける直前の風船、導火線に火がついたところの爆弾。
後はイントロを待つだけだ。
1曲目は何だ??
ん??
セットリストは小さな紙に書いて床に貼ってある。
あの曲だ、分かっている。
分かっているのだが、曲を思い出せない。
実はこの現象、実際にライブで二度も経験している。
本当に不思議なのだが、誰かが記憶のその曲の部分だけを持って行ってしまったように、きれいさっぱり思い出せないのである。
一度目は仕方なく歌なしで曲を始め、二度目はイントロを二周させたところで思い出したのだが、あの時の焦りがリアルに思い出される。
「ヤバい、曲がさっぱり分からない!」とメンバーの一人の言うと、彼は耳元でその曲のメロディを囁いた。
お、何か、思い出した、ような気がする・・・。
スッキリしないが、きっかけは掴めているような感じだ、イントロが始まれば思い出せるだろう。
しかし今度は、ああっ、歌詞のアンチョコがない!!
私は歌詞を全く覚えておらず、紙に書いたものを譜面台に置いて見ながら歌うつもりだったのである。
ヤバい、どうしよう、ダメだ、まるで覚えていない。
そこでイントロが始まる。
仕方がない、適当だ適当。
いつもPで酔って歌う時のように、ゴニョゴニョ歌ってしまえ。
イントロ。
こんな曲だったっけ??
さっき見え隠れしたメロディのきっかけを元に、想像で再現して歌う。
その時、メンバー全員が「はぁ!?」という顔でこっちを見た。
ヤバい、ハズれたEE:AEB64もはやこれは、完全な私のオリジナルである。
見かねたメンバーが代わりに歌いだしたが、そうなると私はお役目御免である。
すごすごと客席に回る。
客席に座って分かったが、ステージには大きなスクリーンが設置してあり、それはカラオケのように歌詞を映し出していた。
振り向けば歌詞はそこにあったのである。
しかしメンバーはそのまま歌い続け、私がステージに上がる事はなかった・・・。
ひどい夢だ。
恐らく今後のバンドライフへの不安が、そのまま投影されているのだろう。
曲を覚えられないんじゃないかという不安、
必要とされなくなる不安、
上手くやれないかもしれない不安。
いや、もしかしたらそれは未来系ではなく進行形なのかもしれない不安だ。
曲を覚えられない不安、
必要とされていないかもしれない不安、
上手くやれない不安。
不安をなくすためには練習しかないが、時々「どうせできないんだから」とそれすら無駄に思える時がある。
悪い癖だ。根がネガティブなのである。ネガネガティブ。
こうなると練習にすら拒否反応が出てくるので悪循環である。
今週中にアーッとヒトカラで声を出してくる事にする。
今の状態が分からないから不安になるのかもしれない。
いい夢で眠りたい。