基本的に恋愛小説は読まないが、例外的に読んだこの本はムチャクチャ面白かった!
「片思いって、なんて残酷で甘美なのだろう」
帯の言葉である。
平凡なOLテルちゃんは、マモちゃんに首ったけである。
一緒に酒を飲み夜を明かしても、ふたりの関係はハッキリしていない。
マモちゃんを愛するあまりにハッキリできないのである。
一緒にいられればいい、テルちゃんの願いはそれだけなのだ。
しかし、突然連絡が途絶えても、彼女は耐える。
マモちゃんを困らせたくないのである。
彼女の生活はマモちゃんを中心に回っており、それは仕事を始めとする日常を侵していく。
片思いでもいい、それでもいつまでもマモちゃんと一緒にいるためにはどうしたらいいのか。
彼女の出した決断は・・・。
純愛だ。
こういうのを純愛と言うのだろう。
しかしそこに美しさはない。
純粋すぎるあまりにイタイのである。
まるで中学生の恋愛だ。
テルちゃんはマモちゃんに嫌われないために、物凄く気を使い、先回りし、尽くす。
しかしそういうものはやがて、相手には重くなっていくのだ。
ただ、それは果たして異常なことだろうか?
女性の片思いとは、往々にしてそういう性質を持っている。
テルちゃんはあまりにも純粋な女なだけではないのか。
女性ならテルちゃんに、自分を重ねる事ができるだろう。
片思いなんて滑稽で、残酷で、救いがたいものである。
この小説も、決して美しい話ではない(笑)
ぽ子のオススメ度 ★★★★★(女性向け)
「愛がなんだ」 角田光代
角川文庫 ¥476(税別)