やっと気付いたのだ。
何となくそんな気はしていたが、気付いてみるとその存在の大きさに自分で驚いた。
私はこんなにも、
カメが好きだったなんて。
ペットショップで見かける小さなカメの姿を思い出し、私は日々癒されていた。
可愛い。
あんなのがそばにいたらいいのに。
あ。
なんだ、飼えばいいじゃん。
祭の露天でも売ってるぐらいだ、簡単に飼えるだろう。
「カメ、飼いましょう。」
家族に言うと、まず娘ぶー子はヒーと悲鳴を上げてから「絶対にイヤ。」と言った。
ダンナは「絶対にダメ。」と言った。
気持ち悪いから勘弁してと言う娘と、面倒だからやめてくれと言う夫。
案外みんなついて来ないなぁとガッカリしたが、私は諦められない。
なにくそカメ1匹(実は2匹)。
そんなもの、買ってきてしまえばこっちのモンだ。
可愛らしいへの字の口、ヨタヨタ歩き、プカプカ浮かぶ。
どんくさいカメ。
小さいカメ。
私はネットで飼い方を調べた。
お家の作り方:陸地と水場を作る。
ゴツゴツした大きな石を置こう。ペットショップで売ってる洒落た置き物も。
たっぷり遊べるように、大き目の水槽。
プラスティックの軽いものにすれば、私と一緒に部屋を移動できるか。
育て方:カメは人には慣れません。極力触ったり構ったりしないように。
フーン、慣れないのかぁ。
まぁ癒しだから、眺めていられればいい。
愛しいものに手を触れられない切なさも、一緒に「買い」だ。
世話の仕方:水を清潔に保つこと。夏場は毎日水を替えましょう。
無理だ。却下。
さよならカメ。