水曜日。
昨日からリュウちゃんが泊まっている。
火曜日と週末、週2回。
リュウちゃんは泊まっていく。
娘の彼氏である。
19歳の娘の、22歳の彼氏のことである。
何でこんなことになってしまったんだ??
彼氏は人懐っこい割に礼儀もきちんとしているのでいちいち何かと顔を出してくれるが、「泊まる」である。
19歳の娘の部屋に、22歳の彼氏が。
「リュウちゃん、泊まってってもいい?」と聞かれていたら、私はダメだと言っただろう。
晩御飯を食べていくのはいい。
何時間いてもいい。
しかし22歳♂が19歳♀の部屋に泊まっていいとは言い難いのである。
この場合の「泊まる」は、単に「宿泊する」という意味ではないだろう。
娘らの首に縄はつけられんが、私はそういう行為を容認している訳ではないのだ。
しかしリュウちゃんは毎週来る。
毎回きちんと「こんばんは」と挨拶し、」時には手土産を持って。
なぜか私も「どうぞごゆっくり」などと言っている。
「ご利用いただきましてありがとうございます」と言っている場末の旅館と大差ないではないか。
何でこんな事になってしまったのかと言うと、これには前段階があったのだ。
娘ぶー子の彼氏は、ぶー子と同じレストランでバイトをしている。
彼は社員なので、なかなか会う時間が取れないのである。
朝から夕方までぶー子は学校、夜になるとリュウちゃんは仕事である。
ぶー子はリュウちゃんの仕事が終わってからしか会うことができず、そうなるとおのずと門限を過ぎる。
あまりにも立て続けに門限を過ぎると、母親が鬼のように怒り狂う。
「じゃあいつ会ったらいいのEE:AE473」
ごもっとも。
私はテロンテロンに子供を甘やかす親も嫌いだが、親という立場であるのをいい事に一方的に抑えつけるのも嫌いである。
19歳。
私も当時付き合っていたオトコがいたが、会いたい気持ちは良く分かる。
「週に2回でいいから、リュウちゃんちに泊まらせて。そうしたら絶対に門限は守る。」
思えばこの時点でNOと言っていれば良かったのか。
しかしそうなると、門限破りは改善しただろうか。
翌日の学校に響くのである。ほとほと困っていたのだ。
ぶー子が自分で考え出した策である。
わかった、その方向で今後を見る。
もちろんリュウちゃんちに泊まれば何が起こるかは想像できたが、縄はつけられないのだ。
ヤリたきゃ公園でもトイレでもヤルだろうよ。
私は一通り「そういう行為」に対する責任を説き、あとはぶー子らに委ねたのである。
よろしくないと言う人もいるだろうが、陰に隠れて突っ走られる危険があるよりも、オープンに話し合っていける方を私は選んだのである。
ぶー子は門限を守るようになった。
リュウちゃんは水曜日が休みなので、ぶー子は火曜日の夜と週末に泊まって来るようになった。
これで丸く収まった。
・・・そう思ったが甘かった・・・。
私はぶー子の大学の成績表をみて、愕然とした。
単位をボロボロに落としているのである。
理由を聞くと、リュウちゃんちに泊まると翌日学校をさぼっていたらしいのだ。
当然私は怒り、泊まりに行く権利を剥奪した。
冗談じゃない、これは裏切りである。
ぶー子も泡食って「ごめんなさいごめんなさい」と繰り返したが、落とした単位は戻ってこないのである。
何のために苦労して大学に上がったのだ。
何のために高い学費を払っているのだ。
「じゃあいつ会ったらいいのEE:AE473」
そうだね、週末の早朝だけだね。
「ちゃんと学校行くから、リュウちゃんをうちに泊めちゃダメ~~!?EE:AEACB」
不覚にもその時、「おお、そんな手があったか」と思ってしまったのである。
ただし学校のある前日はダメ。
成立。
そんな感じで落ち着いてしまったのである。
もしかしたら私も、テロンテロンに甘い親なのかもしれないが、それはむしろぶー子に対してではなく、誠実な彼氏に対してである。
断じて彼氏が小池徹平似のイケメンだからではないっっEE:AE5B1