かつては、ダンナが夜いなければ「チャンス」とばかりに自分も飲みに出たものだ。
記念日は子供を預けて1泊した。
年だろうか。
チャンスを生かす気持ちが薄れてきた。
今夜は家で惣菜ディナーだ。
しかし惣菜は、負けた。
それっぽい時間を狙って近所のスーパーに行ったが、値下げ品はあらかたなくなっていて、残っているものはこれから値下げを待たなくてはならないものばかりであった。
しぶとく店内を何周もしたが、結局4割引の冷凍スパを買って帰って来た。
9時だ。
せっかくの金曜だから早く飲もうと思っていたのだが、何やってんだか。
娘ぶー子はまだ帰って来ないが、待ちきれずビールの缶を開けた。
先に食べるのも悪いので、つまみもナシだ。
だからと言って、ぶー子が帰ったから食事ができる訳でもなかったのだ。
何としても髪を染めたかった。
正確に言うと白髪だ(泣)
この間のウォーキングでわかったのだが、一見普通っぽく見えても、かき分けると大変な事になっているらしいのだ。
美容院にはなかなかいかないので、普段は自分で染めている。
クシ型のヘアマニキュアでだ。
しかし自分は後ろが見えない。
ダンナやぶー子のリアクションを見ると、いい加減何とかした方が良さそうだ。
かと言ってここで自分でやっても同じことだから、ぶー子に頼んでみたのだ。
子供というものは実に残酷な生き物である。
特に小さな子供は、思った事をそのまま口にしてしまう。
罪がないだけに封じられずタチが悪いが、身内ともなると高校生でも残酷である。
「ええっ、はぁ!?」
毛染めを頼まれた事に対するリアクションではない。
私の髪を染めながらのセリフだ。
「マジなにこれ?!」
「ありえないんだけど!!」
「うわっ、出た!!」
若いという事は罪作りである。
いずれ自分に起こるかもしれない事など、まるで頭にはない。
「アンタも血がつながってるんだからね。覚悟しいや(極妻風に言ってみた)。」
と言うと、
「ええ~っ!?私もこんなになるなんて、絶対ヤなんだけど!!」
・・・これは文字で伝わりきっていないが、本気で嫌がっている口ぶりで、彼女はそう言った。
「こんなになるなんて絶対嫌」と言われた頭を持つ、私の立場は。
髪を染めたのだから、洗わなくてはならない。
やっと落ち着いてワインを飲み始めた頃には、ダンナが帰って来た。
結局、Nothing special。
まぁそれこそがspecial。キマタッ。