人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

在庫切れ

昨日は日曜日である。

金曜の夜から日曜にかけては「飲酒強化デー」である。

前日散々飲んだが、夕方からひとり飲み始める。

ダンナはソファで座り寝だ。似たもの夫婦である。

私も「寝る」か「飲む」かの究極の選択に迫られたが酒をとったのだった。

ビールを1缶飲んだ。

二日酔いで乾き気味だったから、続いてサワー缶を飲む。

その後は延々白ワインを飲んだ。

8時ごろ、ワインのグラスを持ってシャワーを浴びに行った。

時間が空いて酔いが醒めたらもったいない。

「豪華じゃん。」と娘ぶー子は言ったが、そんな優雅なものではない。

実際は水が入らないように窓辺にグラスを置き、一口飲むためにシャワーを止めては横着して座ったまま体を伸ばしてグラスを取る。その繰り返しだ。

せめてシャワーじゃなく風呂にするべきだった。

ボトルに残っていたワインが空き、新しく開けたボトルも空いた。

まだまだ飲めまっせ、どんどん持って来いや。

しかしここでワインの在庫が切れた。

ダンナの焼酎を飲もうとしたが、これも週末まで持ちそうにないと。

う~ん、困った。

酒は無い訳ではないのだが、頂き物の1升瓶の日本酒だとか、上等なウィスキーだとか。

今夜ちょっと飲むだけではもったいないのだ。

あちこち棚を開けると、小瓶の日本酒が4本。

小瓶だが日本酒かぁ・・・。

顔を上げるとワインラックにカルーアの瓶が入っていた。

カルアミルクか。何か体に良さそうだぞ。

私は大きいグラスに氷を入れ、カルアミルクをたっぷり作った。

お~、うまい♪

甘くてデザートだね。たくさん飲んだ後だしちょうどいいや。

・・・と思ったのは始めのうちだけで、そのうち甘ったるくなってきた。

キツいなぁ。

もう1杯は無理だ。次は何を飲もう?

結局ダンナのなけなしの焼酎を飲んだ。

酒も3日目ともなると、なかなか回ってこない。

もっともっと、まだまだと飲み続けるうちに、1時になってしまった。

ダンナもぶー子もとっくに寝た。

エルもダンナと和室で寝たようで、リビングは静まり返っていた。

そろそろ寝ないとだな。

立ち上がって歯を磨きに行くと、エルが和室から走ってきた。

エルはドアを開ける気配に非常に敏感である。

1ヶ月半に及ぶ入院生活を終えてうちに来た時は生後2ヶ月ほどだったが、

心配だったからその後1ヶ月ほど2階の寝室にカンヅメにしていた。

つまりエルは1日のほとんどを1人ぼっちで寝室で過ごしていた訳で、私達が入って来るのをいつも心待ちにしていたのだろう。

どこかの部屋のドアが開く気配がすると、ドアまですっ飛んで行く。

なもんだから、せっかくダンナが「エル♪」とエルを連れて先に布団に入っても、私が2階に行く時に一緒に出てしまうのだ。

翌朝ダンナはガックリである。

しかし昨日はちょっと様子が違った。

2階に行こうとドアまで行ったが、エルの姿が見えないのである。

どうやら歯を磨いている間に飽きたのか、またダンナのもとに戻ったらしい。

そうかそうか、それなら朝まで一緒に寝かしてあげよう。

私はそっとドアを開けた。

カシャ、と小さな音が鳴ったが、エルは出てこなかった。

・・・聞こえなかったのかな?

今度はガシャ、といつも通りにドアを開けた。

出てこない。

グッスリ寝ちゃったのかな?おかしいなぁ。

違う違う、今夜はダンナと寝かしてあげるんだった。

私は再度ドアを開けたが、ガッシャンガッシャンと大きな音で立て続けに2度開閉した。

んん??

おかしいなぁ。どうしたんだろう?エル??

あぁ、でもこれでいいのか。今夜ぐらいはダンナと一緒に寝かして・・・。

「・・・エル??」

小声で呼んでみる。反応はない。

「エル!?エルー!!」

こんなに反応ないなんておかしい。

「エ ル !!」

大声で叫ぶ。

あ。もしかして。

風呂場のドアを開けるとエルがぶっ飛んで来た。

さっき歯を磨いてた時に一緒に入ったまま閉じ込めていたのだ。

良かった良かった、じゃ、行こうか。

ドアを開けるといつものように弾丸ダッシュで飛び出して行った。

ダンナは今朝も1人で目覚めたのだろう。

私の方は今朝目が覚めたら、寒かったからだろう、エルが小さく丸くなってピッタリくっついて寝ていた。

ウフフ♪