人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

ミッツ、病院へ行く。

「あっ!」

一瞬のできごとであった。ずっと注目していたにも関わらず、防ぐことができなかった。エルがミッツの顔を引っ掻いたのである。

 

猫は、相手の目を狙う。私ですら、やられたことがある。危険を感じたりこちらの行動を封じたりする時に、目を引っ掻くのである。犬と猫を一緒に飼うにあたって、猫の爪は切るようにとネットでは書かれていた。しかしエルも大五郎も、爪を切らせてくれないのである。子猫のうちに、慣らせておくべきであった。

そして、事故が起きたのだ。

 

実は、初めてではない。大五郎にやられたことも、何度かある。これによりダイゴはミッツの上に君臨したようで、ミッツはダイゴに弱い。ちゃんと、引きどころを知っている。

ところがだ。エルは体が小さいからか、どうやらナメられているようだ。私の膝にいたエルの匂いを無遠慮に嗅ぎに行き、怒りを買った次第である。ところがミッツは引かなかった。前歯を見せて飛びかかろうとしたところ、キッ、と引っかかれ、今度はそれに対して反撃しようとしたので割って入って止めたのであった。

 

後を引かずそれで落ち着いたのは良かったが、どうも片目をいつまでもしぶしぶさせている。場所が場所なだけで心配だ。しばらく様子を見ていたが、気になるので病院に連れて行くことにした。・・・この日は午前中にエルの定期検査に連れて行ったばかりである。そして夕方の動物病院は凄く混んでいて、凄く待つことになった。もう誰でもいい、先生の指名はせず、早く診てもらうことを優先する。

 

初めての先生だ。とっても若く、とっても可愛らしい女の子。以前薬を受け取る時にちょっと話をしたことがあったが、看護師さんだと思っていた。正直「医師」という風格には欠けるが、話が上手ですぐに打ち解けることができた。

問題は目であったが、一応ザッと全身の様子を診るのが決まりのようで、体重を測り、体温を測り、耳の中を見たり、歯を見たりとやってくれている。

そしておもむろに上から抱きかかえるようにして手をお腹側に入れ、触診を始めた。

真剣な顔だ。目線を床に落とし、頭の中で色々考えを巡らせているようでもある。

その時、「ん?」と言って目線が上がった。

「え?」ドキッとする。病院で「ん?」である。ろくな異変であるはずがない。

先生は無言でお腹の当りを執拗に触れている。そして一言、「・・・・・・・もっちり?」と言ったので死ぬほど笑った。気になるしこりでもあったのかと一気にそこまで不安になったところ、まさかの「もっちり」である。

体重はギリです、と常々言われていた。この先生は初めてだったから、ミッツのお腹も初めてだ。先生にしたら思いがけないもっちりだったのかもしれない。

 

結局、目の方には異常なかった。

光を当てると傷が浮かび上がるという薬を目にさして調べるのだが(凄いよね)、長時間待って、お金を払って、もっちりと言われて帰って来たのであった。

 

ということで、この頃お散歩では軽く走るようにしている。私も運動不足なので、ちょうど良かった。最初の一週間は筋肉痛があったが、どうやら最近は慣れてきた感じである。

目も異常なかったし、運動習慣もできそうだし、結果オーライかな??