人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

猫>ぽ子>犬

犬のミッツが我が家に来てから、10ヶ月が経った。

家にはすでに先住の猫が2匹いたが、両者の仲は相変らず思わしくない。

進歩がない訳でもないのだが、まだフリーにして同居は難しそうである。

このように後からパートナーを迎える場合、何事においても「先住優先」が鉄則である。これがその後の同居生活を左右しかねないのだ。私達もここには気を配ってきた。

その結果、どうやら猫の方には余裕があるように見える。

ミッツの姿が見えても怖がったり怒ったりすることはない。時々ミツコ部屋を覗きに行ったりもする。

しかし、ミッツがダメだ。

猫が横切ったりすれば、猛烈に吠える。猫の鳴き声がしても、猛烈に吠える。近づいて来れば、牙を剥く。

そんなミッツに、大五郎は寛大であった。少しずつ近づいては、ひっくり返ってお腹を見せたりしている。

それなのに、どうしてミッツはそんなに吠えるのか。

大五郎が不憫である。

ある日、とうとう大五郎がキレた。

最初はまたコロンと転がってミッツを誘っていたが、あまりにミッツが吠えるので堪忍袋の緒が切れたか。

頭を下げ、耳を後ろに折り曲げ、小さくウーと唸っている。

こんな姿は初めて見た。それで知ったが、大五郎は本当に優しいヤツなのである。怒ったりする子ではないのだ。

肩を怒らせて、ミッツの方へ寄っていく。

ミッツはミッツでそんなものは屁でもないという様子で、吠えるのをやめない。

こうしていると、まるで大五郎が野犬から私を守ろうとしているみたいで、その頼もしさに惚れ惚れとしてしまった。

・・・場合ではない。一触即発だ。間に割って入って事なきを得たが、お腹を見せて譲歩したり、許さんとばかりに向かって行ったりする大五郎の方が、ただ吠えまくっているミッツよりよっぽどお利口じゃ、と感心した。

ところで、私は酔うとミッツをリビングに放つようになった。

そんな時ミッツは、猫に全く無関心である。

逆に猫は嫌がって高いところに行ってしまい、形勢逆転だ。

ミツコ部屋でただ吠えまくっていたミッツは、ダメ、と言えばやめるし、おいでと言えば来る。簡単な言葉なら理解するばかりでなく、ちゃんと従うのだ。

君もお利口なんだが、どうも序列に問題があるらしい。

どうしたものか。