人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

恐怖に震える

猫・エルを抱く。

そのままその先にいる犬・ミッツに近寄っていく。

興味は津々、ただやはり怖い。未知の動物。大きい。そしてあいつは良く吠える。

だから私が抱いているのだ。そろそろ君達の距離をもうちょっと何とかしたいものである。

 

一方、犬の方も興味津々だ。すでにクーンクーンと鼻を鳴らしている。

吠えてくれるなよ、ミッツ。君は賢い子だ。きっと我慢できる。

ジリ、ジリ、と少しずつ寄っていく。エルの体がギュウッと硬くなる。

この辺が限界か。

そこで足を止めると、エルはブルブルと震え出した。

ここまでである。今日も進歩なし。

 

理屈ではなく、体が震えているのだ。本当に怖いのだろう。

しかしふと思った。

人間だってその辺は同じだと思うが、こんな風に震える事なんてあったっけ??

思い返す。

 

なくはなかった。

思い出せるのは、人に対する恐怖であった。自分より、立場が上の人間。

中学生の時に悪さをしてお巡りさんに怒られた時。

仕事でやらかして上司に謝りに行った時。

意志とは関わらずにブルブルと体が震え出したのだ。そして意志では止められない。

思い出せるのはその2回だけだ。

意外と人間は精神的にタフなのか。それとも、動物よりも恐怖の対象が少ないのかもしれない。

もし見たこともない大きな動物が私を見て猛然と吠えたとしたら、私は震えるだろうか?

お巡りさんの恐怖はそれ以上ということなのか?

単に私の恐怖体験が少ないだけかもしれない。ありがたいことだ。

とは言え、怖いことは何度もあった。あんなんまだまだ余裕があるということなのだろうか。

 

大五郎は、東日本大震災の時、余震でブルブル震えていた。

体は大きいが、臆病なのである。雷もダメだ。

それでも上司やお巡りさんなんかは怖くないんだろうな。イエネコである彼には、恐怖の対象は人間より自然だ。

 

果たして「犬」に対してはどっちなのか?自然ではないが、人間でもない。

エルの判定は自然災害に近いようだが(笑)