人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

金曜日の夜からのこと ③むっちゃくちゃ大変じゃん!!

深夜2時。子猫を連れて帰ってくる。

ソファで寝ていたダンナが目を覚ました。そこを黙って手を引いて、ぶー子の部屋へ連れて行く。

「・・・ちいさい・・・。」ダンナも驚いている。

強引に3匹も連れてきて気を悪くしてないか心配したが、子猫が小さくてかわいかったので良かった。

すっかり目を覚まして子猫に見入っている。

さて、コイツをどうするか。

ミルクか?ないから牛乳だ。まだ飲めないだろうからティッシュに浸して飲ませよう。

手に子猫を持って、こよりティッシュを口に・・・飲まない。

ピーピー泣いてるだけで全然ダメだ。

死んじまう!

ネットで調べてみる。

「牛乳を飲ませてはいけません。」

ひえっ。死んじまう。

なになに、ミルクがなければ水で薄めて・・・。水割りか。確かにまだ若造にストレートはつらいだろうよ。

しかしストレートが水割りになったって、飲まないものは飲まない。

あせる・・・。このままでは死んじまう。

口にティッシュが入っても吸う力がないのだ。

パクンと口を閉じた勢いでちょこっと絞られる分を飲む。

そのうち一度だけクックッと飲んだときがあったが、涙が出た。

ダンナがその子猫を見て「かわいい・・・。」と言った。

そうでしょ?かわいいでしょ?かわいいって言ったよね?これからも世話よろしく。

もうこれ以上は無理だ。

明日病院へ連れて行こう。

そこで健康状態をみてもらって、ちゃんとした世話の仕方を聞こう。

明日カラオケじゃんか。じゃあ病院は朝イチだ。

待てよ、ミルクが2、3時間おきって書いてあったな。

寝るの4時、6時にミルク、病院は9時からだ。

6時のミルクの後もそうだったけど、なかなか寝付けなかった。

子猫が死んじまうんじゃないかと思うと気になって眠れないのだ。

眠くてボーッとしたまま病院へ。

ご近所さんの勧めていた駅前の病院だ。テレビにも出てた。混んでそうだな。

子猫のダンボールを持って外に出たら、隣のダンナが洗車をしていて、向かいの奥さんが車に乗り込むところだった。

チャンス、売り込んでおこう。モコだって飼えるかどうか怪しいのだ。

向かいは犬を飼っててダメだけど、かわいそうだ、と色んな人に聞いてくれた。

隣は奥さんが降りてきてくれて、「ダンナがどうかなぁ~?」とあまり乗り気ではなかった。

まぁでも誰かに聞いてくれたりするだけでもいい。目的は宣伝なのだ。

駅前の病院はそこそこ混んでいた。

私が着いた時はそれほどでもなかったんだけど、先生が丁寧に話を聞いてくれるので結構時間がかかるのだ。

しかし待ち時間も退屈しなかった。

猫バカ犬バカの集まりなので、お互いの飼い犬やら猫やらを見せ合いながら話をしているうちにあっという間に時間が過ぎる。

それにしてもこんな薄汚いダンボール持ってるのは私だけだ。

しかもタオルでフタをしてあり、死んでるみたいじゃないか。

どうりで誰も私には話しかけてこなかった訳だ。

「元気はありますね。」

先生はそう言った。

ただ、やはり生まれたたてで弱いので世話が大変ですよ、とも言った。

大変だけど、やることをちゃんとやってれば大丈夫です、と言った。

やること。

①3時間おきにミルク。

②ミルクの度に排泄の介助。

③常に暖かくしておく。

3つだけか。それならできそうだ。

粉ミルクと哺乳瓶と針のついてない注射器(ミルクやるのに使う)をもらって終わり。

5千円だ・・・。チーン。

病院を出たらここから近い、前に勤めていた宅急便の営業所に行く。

宣伝だ。だれか飼ってくれ。

セキャーマさんは子猫を見るなり「涙でるね・・・。」と言って涙ぐんだ。

この人は前に、子猫飼えないかと聞いてきた人だ。里親募集の記事にしたアレだ。

本当はセキャーマさんが飼いたかったらしいんだけど、飼っているワンコが子猫で遊んじゃって「殺してしまう・・・。」と判断し、諦めたのでした。

セキャーマさんはすぐその場で色んな人に電話して聞いてくれた。

1人目の電話を切った時は「・・・聞いてみたんだけど、この人もいま子猫8匹保護してて、飼い手が見つからなかったら処分場行きなんだって・・・。」と言った。

厳しい・・・。

もう飼ってくれそうな人はMAXまで飼っているのだ。

この方などもうMAXを超えている。

それでも後から、セキャーマさんのお嬢さんの友達が飼いたいと言ってくれてると連絡をくれた。

ただ、こちらも親の許可待ちだ。

モコとどっちが可能性が高いだろう?

帰りにペットシーツを買った。1300円、チーン。

もう昼だ。

早くカラオケに行きたいのだが、ぶー子が出掛けていて出るに出られない。

3時間おきのミルクがあるので、3時間以上子猫を放置できないのだ。

「本当にカラオケ行くの?」ダンナがちょっと非難がましく聞く。

「行く。」

もう眠くて眠くてあくびばかり出ている。

でもずっと楽しみにしていたのだ。

本当は午前中に色々カラオケの準備をする予定だったんだけど、何もできなかった。

なにもこんな日に行かなくてもいいんだろうけど、もう随分行ってないのだ。

今日を逃すとまた先が見えなくなる。

行くったら行く。

「5時か6時頃帰る」

このぶー子のメールをもらって、3時前に家を出た。

もうずっと子猫一色だったのだ。

息抜きだ。

死ぬなよ。