人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

最後の1匹

「元気」も「勇気」も努力の甲斐なく死んでしまった。

みんなうちに来たときは元気だったのだ。

最後の1匹も死ぬのか。

もう育てるのが辛くなってきた。

「ゴメン、どうしても気になるんだけど、チャトラちゃん(注:今はチャトラちゃんではない)は元気なのかな?絶対に我が家の一員にしたい。」

「勇気」が死んだと知らせた後にダンナがこんなメールを返してきた。

ダンナはそもそも、これ以上増えることには消極的だった。

アビシニアンが欲しいと言った時も、友人から飼えないかと聞かれた時も、

私と娘ぶー子が強引に飼うほうに持っていっただけで、

決して積極的にのってきた訳ではない。

嫌だというより、これ以上は多分ワサワサして面倒なだけなんだろう。

嫌いではないのだ。

なのでこのメールを見て私は感激した。

勝手に捨て猫を3匹連れ込んで、一緒に面倒を看させ、悪いことしたなぁと思っていたのだ。

ところが最後に残ったこの子もみるみる弱っていった。

これまでと全く同じだ。

それでもダンナとぶー子は必死にミルクを飲ませていた。

飲む力もなく、そこへ1滴ずつ辛抱強く口に含ませるのだ。

その甲斐もなくどんどん弱っていく。

もう見るのもつらい。

私は諦めた。

この子ももうすぐ逝ってしまうだろう。

回復のためではなく、最後にできることとしてミルクを形だけでも与えてあげよう、そんな気持ちでいた。

針のついていない注射器で1滴ずつ口に含ませる。

嫌がるのでなかなか口に入らない。

1.5cc、できれば2cc飲ませたい。

それでもほとんど口からこぼれていく。

ところがよくみていると、時々指をチュウチュウ吸っていることに気がついた。

もしかして、哺乳瓶なら飲めるんじゃ・・・。

これまでも哺乳瓶で飲ませたことはあったけど、口に入れるまでとても嫌がるので「かわいそうだ」と止めていたのだ。

やはり凄く嫌がったが、

口に入るとほんの一度、チュウチュウと吸った。

「次のミルク、ダメもとで哺乳瓶で飲ませたい。」

私の飲ませ方が乱暴なので反対していたダンナとぶー子だったけど、今度はもう何も言わなかった。

結果は良好だった。

すぐに上手くは飲めなかったけど、口に入れば結構飲める。これで行こう。

朝イチでまた病院に連れていったけど、その時にはすっかり元気になっていて、

「昨日よりも元気ですよ。」と言われた。

嬉しい・・・。

もう諦めない。

「絶対に家族の一員にしたい。」

この日ダンナは休みをとってくれていた。

みんな寝不足でクタクタだ。

交代で寝よう。

思えば最初の子猫の容態が悪くなってからほとんど寝ず、食べれず、

雨戸は閉め切ったまま、私は風呂にも入らず顔も洗わず、

無我夢中で世話をしていたのだ。

ダンナも仕事があるのに、一晩中、1時間かかる授乳を2、3時間おきに一緒にやってくれた。

私たちも、子猫も頑張った。

初めて体重が増えた。

それからはどんどん育っていき、今では2cc飲めなかったミルクも

「もっと」「もっと」と鳴きながら9cc飲むようになった。

最高にかわいい。

絶対にこの子を失くしたくない。

今週一杯は嘘をついて会社を休んでしまった。

精一杯世話する。

やっと我が家が明るくなってきた。

「元気」と「勇気」の事を思うと胸が締め付けられるような気持ちになるけど、

まだこの子がいる。

元気になってくれてありがとう。