「元気」も「勇気」も努力の甲斐なく死んでしまった。
みんなうちに来たときは元気だったのだ。
最後の1匹も死ぬのか。
もう育てるのが辛くなってきた。
「ゴメン、どうしても気になるんだけど、チャトラちゃん(注:今はチャトラちゃんではない)は元気なのかな?絶対に我が家の一員にしたい。」
「勇気」が死んだと知らせた後にダンナがこんなメールを返してきた。
ダンナはそもそも、これ以上増えることには消極的だった。
アビシニアンが欲しいと言った時も、友人から飼えないかと聞かれた時も、
私と娘ぶー子が強引に飼うほうに持っていっただけで、
決して積極的にのってきた訳ではない。
嫌だというより、これ以上は多分ワサワサして面倒なだけなんだろう。
嫌いではないのだ。
なのでこのメールを見て私は感激した。
勝手に捨て猫を3匹連れ込んで、一緒に面倒を看させ、悪いことしたなぁと思っていたのだ。
ところが最後に残ったこの子もみるみる弱っていった。
これまでと全く同じだ。
それでもダンナとぶー子は必死にミルクを飲ませていた。
飲む力もなく、そこへ1滴ずつ辛抱強く口に含ませるのだ。
その甲斐もなくどんどん弱っていく。
もう見るのもつらい。
私は諦めた。
この子ももうすぐ逝ってしまうだろう。
回復のためではなく、最後にできることとしてミルクを形だけでも与えてあげよう、そんな気持ちでいた。
針のついていない注射器で1滴ずつ口に含ませる。
嫌がるのでなかなか口に入らない。
1.5cc、できれば2cc飲ませたい。
それでもほとんど口からこぼれていく。
ところがよくみていると、時々指をチュウチュウ吸っていることに気がついた。
もしかして、哺乳瓶なら飲めるんじゃ・・・。
これまでも哺乳瓶で飲ませたことはあったけど、口に入れるまでとても嫌がるので「かわいそうだ」と止めていたのだ。
やはり凄く嫌がったが、
口に入るとほんの一度、チュウチュウと吸った。
「次のミルク、ダメもとで哺乳瓶で飲ませたい。」
私の飲ませ方が乱暴なので反対していたダンナとぶー子だったけど、今度はもう何も言わなかった。
結果は良好だった。
すぐに上手くは飲めなかったけど、口に入れば結構飲める。これで行こう。
朝イチでまた病院に連れていったけど、その時にはすっかり元気になっていて、
「昨日よりも元気ですよ。」と言われた。
嬉しい・・・。
もう諦めない。
「絶対に家族の一員にしたい。」
この日ダンナは休みをとってくれていた。
みんな寝不足でクタクタだ。
交代で寝よう。
思えば最初の子猫の容態が悪くなってからほとんど寝ず、食べれず、
雨戸は閉め切ったまま、私は風呂にも入らず顔も洗わず、
無我夢中で世話をしていたのだ。
ダンナも仕事があるのに、一晩中、1時間かかる授乳を2、3時間おきに一緒にやってくれた。
私たちも、子猫も頑張った。
初めて体重が増えた。
それからはどんどん育っていき、今では2cc飲めなかったミルクも
「もっと」「もっと」と鳴きながら9cc飲むようになった。
最高にかわいい。
絶対にこの子を失くしたくない。
今週一杯は嘘をついて会社を休んでしまった。
精一杯世話する。
やっと我が家が明るくなってきた。
「元気」と「勇気」の事を思うと胸が締め付けられるような気持ちになるけど、
まだこの子がいる。
元気になってくれてありがとう。