人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

『勇気』のこと

「元気」を葬って娘ぶー子と酒を飲んで、昼過ぎ3時頃ベッドに入った。

7時半に病院だから、7時までは寝れる。

久しぶりのまとまった眠りだ。

これまで2、3時間おきのミルクでもうヘトヘトだ。

ミルクをやるのにも3匹で1時間かかっていた。

ところが5時前に電話で目が覚めた。

見覚えのない番号だ。

出てみると、あとの2匹を預けている病院からだった。

もう言われなくてもわかる。

「残念ですが、黒トラちゃんの方が先ほど亡くなりました・・・。」

やはりダメだったか。覚悟はしていた。

それでもこんな瀕死の生まれたての子猫を、最後まで診てくれた先生に感謝している。

最後まで尽くしてくれた事に礼をいい、電話を切った。

寝ていたはずのぶー子がすっ飛んできた。

「今の電話なにっ。」

黒トラちゃんが亡くなったことを言うと、「そうか・・・。」とだけ言って戻っていった。

もう悲しくてうんざりだ。

どんなに努力して手を尽くしても、みんな死んでいくのだ。やりきれない。

7時半にまだ頑張っている1匹と亡くなった黒トラちゃんを迎えに行く。

黒トラちゃんはきれいになっていた。

どの子もそうだが、そこらじゅうミルクやへその緒のかすやらでガビガビだったのだ。

フサフサのきれいな黒トラだった。あぁ、もっと大きくなった姿が見たかった。

残りの1匹は比較的元気だった。「比較的」。

「比較的元気ですが、いい状態ではありません。」先生はそう言った。

それでもよく動き、ミーミーと声を上げる。

もうこの子しかいなくなってしまった。

頑張って助けよう。

ダンナは帰って来るなり泣いた。

「元気」が死んだ時も泣いたが、今回もしばらく泣いていた。

「玄関に黒トラちゃん、いるから。とってもキレイになったから見てあげて。」と言うと

こちらに背を向けていつまでもいつまでも見ていた。

今度はこの子の埋葬だ。

1日に2度もお墓を作ることになるとは思わなかった。

ぶー子はまた自分のアクセから十字架のネックレスを選んで、この子に抱かせた。

さすがに続いてのこの不幸に、あれだけ気丈に頑張ってたぶー子も参ったようで

放心して亡骸を抱いていた。

この子に「勇気」と名付け、「元気」の横に埋めてあげた。

カレンダーの「元気の命日」の下に「と、勇気」と書き加えられた。

ドラマなどで、泣きながら壁やテーブルをドンドン叩くシーンがあるが、

その通りだ。

どうにもならない行き場の無い悲しみは、手に込められるようだ。

あと1匹。

死ぬ前にせめて名前をつけなくてはと思った。

上の黒っぽいのが「勇気」。まだ元気だった(泣)

下のが頑張ってる残りの1匹。