「元気」を葬って娘ぶー子と酒を飲んで、昼過ぎ3時頃ベッドに入った。
7時半に病院だから、7時までは寝れる。
久しぶりのまとまった眠りだ。
これまで2、3時間おきのミルクでもうヘトヘトだ。
ミルクをやるのにも3匹で1時間かかっていた。
ところが5時前に電話で目が覚めた。
見覚えのない番号だ。
出てみると、あとの2匹を預けている病院からだった。
もう言われなくてもわかる。
「残念ですが、黒トラちゃんの方が先ほど亡くなりました・・・。」
やはりダメだったか。覚悟はしていた。
それでもこんな瀕死の生まれたての子猫を、最後まで診てくれた先生に感謝している。
最後まで尽くしてくれた事に礼をいい、電話を切った。
寝ていたはずのぶー子がすっ飛んできた。
「今の電話なにっ。」
黒トラちゃんが亡くなったことを言うと、「そうか・・・。」とだけ言って戻っていった。
もう悲しくてうんざりだ。
どんなに努力して手を尽くしても、みんな死んでいくのだ。やりきれない。
7時半にまだ頑張っている1匹と亡くなった黒トラちゃんを迎えに行く。
黒トラちゃんはきれいになっていた。
どの子もそうだが、そこらじゅうミルクやへその緒のかすやらでガビガビだったのだ。
フサフサのきれいな黒トラだった。あぁ、もっと大きくなった姿が見たかった。
残りの1匹は比較的元気だった。「比較的」。
「比較的元気ですが、いい状態ではありません。」先生はそう言った。
それでもよく動き、ミーミーと声を上げる。
もうこの子しかいなくなってしまった。
頑張って助けよう。
ダンナは帰って来るなり泣いた。
「元気」が死んだ時も泣いたが、今回もしばらく泣いていた。
「玄関に黒トラちゃん、いるから。とってもキレイになったから見てあげて。」と言うと
こちらに背を向けていつまでもいつまでも見ていた。
今度はこの子の埋葬だ。
1日に2度もお墓を作ることになるとは思わなかった。
ぶー子はまた自分のアクセから十字架のネックレスを選んで、この子に抱かせた。
さすがに続いてのこの不幸に、あれだけ気丈に頑張ってたぶー子も参ったようで
放心して亡骸を抱いていた。
この子に「勇気」と名付け、「元気」の横に埋めてあげた。
カレンダーの「元気の命日」の下に「と、勇気」と書き加えられた。
ドラマなどで、泣きながら壁やテーブルをドンドン叩くシーンがあるが、
その通りだ。
どうにもならない行き場の無い悲しみは、手に込められるようだ。
あと1匹。
死ぬ前にせめて名前をつけなくてはと思った。
上の黒っぽいのが「勇気」。まだ元気だった(泣)
下のが頑張ってる残りの1匹。