角川武蔵野ミュージアムのデジタルアート展でゴッホを観たのは、おととしの8月のことだ。
普通の展覧会だと思って行ったら、映像によるデジタルアートということで最初はガッカリしたのだが、これが観て見ると凄く良くて。
デジタルアートだからこそできることが、映える。没入感が素晴らしかった。
そしてゴッホの次に来たのはダリ。
ダリが好き、というほどダリを語れないが、私の知りうる画家の中では相当好きな方だと思う。
あの不思議な世界観。怖いような、どこか懐かしいような。
今回デジタルアートの中に入り込み、私はまた子供の頃を思い出した。
空想癖がある私は、家の画集を眺めては良くその絵の中に入ったものである。
ダリの絵の「空想甲斐」は、その作り込まれた独特な世界観であった。
ひとつの絵の中に、色んな物語があった。大人になった自分が今見ると、「どうしてこれがここに?」「何の意味が?」と考えてしまうものが、子供の頃にはなかったのだ。私は無限にその世界観を楽しんだ。
そんなことを、思い出したのだった。
サルバドール・ダリ ― エンドレス・エニグマ 永遠の謎 ―。
まぁ奇才の顔です。
クリエイティブディレクターを務めたジャンフランコ氏のコメント。デジタルアートならではの良さを伝えてくれる。
有名な「記憶の固執」の中にある時計。
ダリは子供の頃、昆虫の死骸にたかるアリに衝撃を受けたという。
アリはダリの色んな作品に出て来るが、このアリにダリの中に巣食うトラウマのようなものを見る気がする。
*以下、デジタルアートの画像が続くので、これから観たいと思ってる方は自己判断でご覧ください。
デジタルアート、スタート!
画面は360度、どこにいても、楽しめる。
角のひな壇に席を確保できたのだ。
ダリの妹を描いた、「窓辺の少女」。写実的で美しく、私の知るダリのイメージとは程遠いので驚いた。
これこれ!
どこか荒涼とした感じの風景。異質なものがあり、ちょっと怖い。
ミレーの「晩鐘」のオマージュ作品をいくつか残しているというダリ。
調べてみると、ダリなりの解釈があり面白い。
青が綺麗。神話の挿絵のよう。
ここで気づいたが、スクリーンになってるとは言え、柱が邪魔でちょうどいいところが見えない!移動した。
「目覚めの一瞬前に柘榴の周りを蜜蜂が飛びまわったことによって引き起こされた夢」。タイトルよ(笑)
このクッション席が部屋の中心にあり、正面スクリーンを遮られることなく見られるS席だ。
作品中、たくさん出て来る足の長い「宇宙象」。これが歩くのが、デジタルアートである。
怖い(笑)壁一面に、漕ぎまわっている。
怖い!
しかし終盤になると人も多くなって、ご覧の通り。
宗教画のようなものもある。それもやはりダリ風なのがいい。中央は、妻のガラ。
35分間、たっぷり楽しんだ。プログレっぽい曲も良かった。カッコ良かったのでShazamで一曲検索したところ、「Every Father’s Dream/Pip Mondy」ですって。知りませぬ。
デジタルアートのあとは、ダリの自伝からダリの言葉を抜粋した「言葉の回廊」へ。
真っ暗な中、ダリの言葉がのれんに散りばめられている。
「毎朝、目覚めに際し、私は無上の快感を経験するのだか、今日はじめてその正体を発見する。ーサルバドル・ダリであることの喜びである。」
だいぶこじらせてまんなぁ。
「天才を演じつづけよ。そうすれば、おまえは天才となるのだ!」そんな勇気はございません。たとえ毎朝無上の快感を経験するとしても。
ダリによる、著名な画家の採点。
低評価の「モンドリアン」が気になり画像検索したら、笑えた。線ばっかりであった(笑)
ダリの生涯や作品の年表を見ていて気が付いたのだが、1989年没とのこと。えええーーーっ!?そんなに最近の事だったの!?
画家の歴史なんて知らなかったから、名画はみんなダヴィンチの時代だと思ってたよ!
見応えあったが、できればやっぱり、部屋の中心のソファで飲みながら観ることができたらさぞかし・・・、と思ってしまった(笑)
ダリは5月31日まで。
興味がある方は、急いで!