人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

全力を尽くす。

テレビゲームにスマホのゲームと、なかなか忙しいゲームライフになっている。

メインはあくまでもテレビゲームのつもりだが、テレビゲームは自宅にていちいちモニターやらハードやら立ち上げなくてはならないので、手軽さがない。決まった時間にしかやることはない。

逆にスマホゲームの方は簡単に始められるので、隙間時間に差し込む感じで遊んでいた。

現在はモンハンに比重が傾いているが、もっと前からプレイしている戦闘機のゲームもおざなりにならないよう、細々と続けている。

画面に次々現れる敵機を撃ち落としていくだけの、シンプルなゲームだ。弾は無制限に勝手に出るし、自分は前後左右に自機を動かすだけでいい。

こう言うとシンプル過ぎるようだが、ザクザク弾が出て来るのでザクザク敵を倒せ、気持ちがいいのである。難易度が上がるほどに報酬も溜まって来るから、更に自機はパワーアップする。

 

ひとりで細々と遊んでいたが、ある時、他人と遊べるマルチプレイがあることに気が付いた。

1対1、または2対2の対戦だ。直接他人と対戦するのではなく、あくまでも敵はアプリ側。倒した敵機の数だったり、どちらが生き残れるかを競う。

オンラインゲームで他人と関わるのは苦手だが、これは挨拶も何もなくパッと始まってパッと終わる。後腐れがないし、人と競う楽しさがあるので、はまってしまったのだ。

 

挨拶も後腐れもない、といっても、定型文は送れるようになっている。

2対2の対戦は、同じ画面に仲間が入るのだ。定型文は、「共に攻撃しよう」「あなたは守りに入って」など5、6種類あったように思うが、いかんせんそんなものを読んでいる余裕はないので、使う人はほとんどいない。

いないが時々はいるのである。正直迷惑(笑)なので最短の「了解」を返すように決めて、その位置を覚えておいた。

 

その時もスタートと同時に、セリフが現れたのだ。

勇ましいBGMがテンションを上げてくれるので、私はできるだけ音を出してプレイするようにしている。

ザザッザザッ。ザザッザザッ。相方は、IDから察して外国人男性だ。

「全力を尽くそう」

攻撃に関する命令ではなく、この「一緒に頑張ろう」的な言葉は、私の気持ちを高揚させた。

「了解」

これはただの了解ではない。一緒に頑張ります、という了解だ。定型文に対してただ返事をしたのとは違う。私はあなたと共に頑張ります、という気持ちの表れだ。瞬く間に私達の間に連帯感が生まれた。

私の「了解」の文字が消えると、敵機が次々現れる。それを迎え撃つ私達は、私達は、・・・・・・・揃って一瞬で撃ち落とされていた(笑)

前代未聞の早さである。しかもふたり揃って。

なんだったんだ、あの決意は。高揚は。連帯感は。

私はしばらく呆気にとられていた。

いや、連帯感は失われていないだろう。高確率で彼も今、爆笑しているはずだ。

 

共に全力を尽くした結果である。