人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ギャッ

とても気持ちのいい夢を見ていた。

 

私は今、戦闘機のスマホゲームにハマっているが、奴らの狙いは課金だ。そうそう美味しい思いはできないようになっている。

そうはいくかと無課金で細々頑張っていて、そうなると戦闘機の開発にも時間がかかり、もどかしいものだ。

しかしその夢では、どんどん戦闘機のレベルアップができたのである。

よし、アップグレード!

おっ、まだできる、アップグレード!

あれ?!もっとできるの!?アップグ「ギャッ!!」痛い!

 

・・・なに??

エルが私の顔を覗き込んでいた。

朝方になるとお腹が空くようで、こうして私の顔に爪を立てて起こすのである。

今回はクリーンヒット、いい夢の真っ最中だったこともあり、最悪の目覚めだ。

枕もとの皿に、用意してあったカリカリを入れてやる。・・・食べん。

エルはお皿の匂いをかぐとプイッとベッドから下り、ドアの方へ行ってニャーとひと言鳴いた。

 

出たいんか。

それはダメだ。許す訳にはいかない。一度許せば、習慣になってしまう。習慣になれば、私は毎早朝階段の上り下りをしてリビングとの間を往復する羽目になる。

「ニャー」。

傾向はあった。いつもなら大人しくご飯を食べてまた寝てしまうのに、この頃こうして鳴くことが多くなった。

それにしても今朝はしつこい。しかし私のしぶとさを舐めてはいけない。絶対ダメ。背中を向けて、再び眠る。

 

「ギャッ!!」

今度は後ろ頭を引っかかれる。

もちろん手加減してはいるが、いかんせん猫の爪だ。尖ったえんぴつ5本が突き立てられるイメージである。

寝ぼけ眼で向き直ると、エルはまたドアの方へ行く。

分かっちょるばい、出たいことは分かっている、分かっていてしらばっくれているのだ。分かっていてしらばっくれていることを分かってくれ。

 

ガリガリガリガリ。

今度は爪を研ぐ音が聞こえて来る。

反射的に「コラー!!」と起きるので、これもまたエルの私を起こす手段となっている。たまらんので壁じゅうに色んなものを貼ってあるが、その上から研がれたりそのものが落ちたりして、もう私はその状況から逃げていた。

 

やがて目覚ましが鳴る。

今度は早く起きなくてはならないが、このまま起きると何だかエルに負けるような感じである。私はエルに起こされたのではなく目覚ましに起こされたのだ、という風にしたい。

 

ギリギリまで布団から出なかったので、その後が大変だった。

この戦いはいつまで続くことになるのか。

差し当たって今夜と明日の夜は、酔って寝る予定だ。絶対に負けん。

その間にエルが諦めてくれるといいんだが。