人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

勝利を手に入れろ

「あれ?月曜日予定書いてあるけど、覚えてる?」カレンダーを見てダンナが言った。その予定を見て、私は愕然としたのである・・・・・・。

 

日曜日。

金曜日も土曜日も飲んだし、翌日からまた一週間が始まるのだ。もう日曜日は飲まないことにした。ゲームと映画で時間は潰せる。案外なんとかなるものだ。

それでも、まだ時間が早いうちには誘惑がある。

「飲まなかったね。」前日買ったワインを手に、ダンナが言った。カラオケボックスに持ち込んだが、そこまで到達しなかったようである。

それをワインクーラーにしまう前に、ダンナはこちらを振り向いてニヤッと笑った。午前中はこういった誘惑の繰り返しである。

そんなジャブがジワジワ効いて、もう別に飲んじゃってもいいじゃないか、そんな気持になりかけていた。

決定打はダンナに踏ませたいが、私のトラップにダンナが呆気なく引っかかることも分かっていた。そういう意味では私次第でもあったのだ。

どうしようかなぁ、でもゲームもやりたいしなぁ・・・。

そんな時に、ダンナがカレンダーの書き込みに気が付いたのであった。月曜日の予定。私は愕然とした。

 

お酒のことを忘れるように、午後はゲームに没頭した。

やがて休日の犬散歩当番の娘ぶー子が現れた。

彼女は目ざとく、壁に貼ったつまみの商品案内を見つける。「あ、これね、食べた?」つまみは、娘達からのプレゼントだったのだ。それはまだ、冷蔵庫に入っていた。

「まだなんだけど、何ならこれから食べるよ、フフッ。」誘惑のジャブだ。そして案の定ダンナはこう言った。「いいね~、やるか。」

「ワインもあるし。」

「そうだね、でもいいの?」いいの?

いいのって、何が??・・・ああ。

ああ、そうだった、月曜日、明日は・・・・・・・、

 

 

 

健診じゃないか・・・・・・・・・。

 

「ああーーーーーーーーー!!!」頭を掻きむしる。

本当に、つまらん。

最高につまらん。

私は一瞬、飲む方に完全に振り切ったのだ。それなのに。

まぁちょっとぐらいいいんじゃないか。

たまにはいいんじゃないか。

色々な、似たような言葉が頭を駆け巡る。

しかし、年に一度の健診だ。ここでいい加減な結果を出しては、次はまた来年である。

諦めろ。無になれ。大人になるのだ。これは負けではない。正しい検査結果と言う勝利を手に入れるのだ。

 

悔しいので、ゲームのあと映画を観ながらピザとチキンとサンドイッチを食べた。

食事は22時まで。

その時間は、映画を観ている間に来てしまった。

映画が終わると、何の楽しみもなくなっていた。

だからそのまま、布団に直行したのである。