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*続きになっています。ミツコですをお先にどうぞ。
生まれた時から食べられてしまう運命なのです。私達はみんな、生まれた時から覚悟はできています。
南の大地の、太陽の眩しい国に生を受けました。
背の高い木にぶら下がり、私達はたわわに実りました。
ここで収穫され、どこか遠い国に行く。それは私達の憧れでした。間違えても猿なんかに食べられたくはありません。できれば豊かな国の暖かい家庭に行き、笑顔で私を迎えて欲しい。
願いは叶いました。
私は3人の兄弟たちとひとつの袋に入れられて、日本という国にやって来ました。
袋に入った時はまだ緑だった私達も、お店に並ぶ頃には綺麗な黄色になっています。
貧乏くさいばばあが、良く選びもせず私達を掴んでカゴに入れました。できれば「選ばれた」という出会いがしたかったけれど、お金を出してまで求められてことに感謝することにしました。
貧乏臭いばばあは、この家の奥様でした。
奥様は私達を「常温ジェット」と呼ぶ方法で、保管しました。つまり、出しっぱなしです。温かい方が甘くなると信じているのです。
旦那様は毎朝「バナジュー」と呼ばれるジュースを作っていて、どうやら私はミキサーにかけられて終わるようです。
覚悟はできてました。猿よりはまし。私は人間の手によって、求められて、この世を去るのです。
ところがある晩、みんな寝静まってしまった頃に、私は引っ張り出されました。
犬です。
ばかに浮かれた犬が、私をリュックサックに入れたのです。
ヨダレを垂らして今にでも食いつきそうな勢いなのに、なぜか私はリュックに入れられました。
犬はその後、カンロ飴とかっぱえびせんを上から突っ込んで来ました。みんな一様に、悲しそうな顔です。中には「犬かよ・・・。」と言ってるのもいました。
正直私も「犬かよ」とは思いましたが、猿よりはまし。もうそう思うしかありません。
朝になりました。少し眠ってしまったようです。
リュックが開けられ、いよいよその時が来ました。
犬に食べられるのとミキサーにかけられるのと、どちらがいいのかしら。
私達に痛覚はありません。プライドの問題です。
ところが犬は、私をもとにあった場所に戻しました。気が変わったのでしょうか。
見ると、犬は泣いていました。
結局私は、旦那様のミキサーにかけられることになりました。
猿に食べられることもなく、腐って捨てられることもなく、夢が叶うのです。
でも今は、犬に食べられた方が良かったのかな、そんな風にも思っています。
犬は泣いていました。