人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

がすぱちょ

人間は、不足したものを自然に補おうとするのだろう。

例えば二日酔い。

アルコールの摂り過ぎで、脱水症状を起こしている。翌日はあり得ないほど喉が渇いているものだ。

これもまた酒絡みになるが、飲んだあとのシメもそうである。激しく炭水化物(糖質なのか??)を欲する。結果、和蔵や和でスープまで飲み干して帰ってくるのである。

その頃私は、ガスパチョの虜になっていた。

こじらせた風邪も治り、やっとこれで普通の生活ができると張り切ったのも束の間、今度は暑さでダウンした。

食欲もなく(ないのに何でも食べられてしまうのがミソだ。痩せはしなかった)、ただひとつ猛烈に欲していたのがガスパチョだったのである。

別にトマトなど好きではない。

むしろ酸っぱいので敬遠していたぐらいだ。

それなのにあのフルーティな酸味を体が欲しがってやまないのである。

ただのトマトではダメだ。

ドロッと濃厚なスープ。しっかり冷えて、喉越し抜群な。

寝っ転がって、スマホでクックパッドを検索する。

スマホに変えて良かったことのひとつは、このように寝ながらにしてインターネットができるようになったことである。

ところがどれだけ調べても手作りのガスパチョは、ミキサーやフードプロセッサーを使うようなレシピしか出てこない。

クソ、病人向けはないのか、と検索ワードの「ガスパチョ」に「簡単」を付け足す。

それでも、どうしてもミキサーのような機械を使うレシピばかりだ。

「ミキサーに入れるだけ」などと言うが、ミキサー出してくるのが大変なんだよEE:AE4E5

もう手作りは諦める。買うと高そうなんだがな。

重い体を引きずって、一番近いスーパーへ行く。

ガスパチョの売り場はどこなのか?

そもそもガスパチョなんて買ったことがないのだ、どんな状態で売っているのか??

缶詰の売り場、ない。スープの売り場、ない。パックの売り場、ない。

店員に聞こうにも、「ガスパチョありますか?」というのはなぜか途方もなく恥ずかしい。なぜガスパチョ?

だいたいそこの若い男の店員など、ガスパチョなどと言っても分からない可能性がある。

問いかけが伝わらないという事態は「説明」に続き、挙句「ありません」ときたら、どうにもバツが悪い。

もういい、ガスパチョは。もうちょっと可愛らしい名前だったら、私も聞きやすかったのに。

翌日。

まだ本調子ではなかったが、前日よりはマシになっていた。

そして相変わらず体は、ガスパチョを欲していた。

どれ、体のために頑張ってガスパチョを作ってみるかの。

たくさんあるレシピの中から私は、できるだけ濃厚そう、かつ、セロリを使わないものを選んだ。

酸っぱくて私を泣かす生トマトは不使用、水煮缶のガスパチョだ。

そこにきゅうり、パプリカ、玉ねぎ、ニンニク、オリーブオイルにバルサミコ酢。

これをフードプロセッサーでガー。

涙が出るほど美味しかったEE:AEB64

調子に乗って今度は、長芋と新玉ねぎのスープもガーッとやって作ってみた。

マジうまいEE:AEB64

これはクセになるぞ。

野菜がたっぷり溶け込んでいるし、これで夏を乗り切れるかもしれない。

次に控えているのは「きゅうりのガスパチョ」である。

ミキサーの保管場所を変えることを検討中。