エル。
結局病院には行かなかったのだ。
しかしその後、本当に少しずつ、ゆっくり、エルは回復していった。
最初はカリカリを一粒。
一粒が二粒。
食べなかったチキンをムシャムシャ。
お水もペロリ。
そして今は、ほぼいつもの状態に戻っている。
もうダメかと思った。薬が効いてくるまで、結構時間が掛かったということか。
薬と言えば、飲ませるのにも苦労した。
ご飯に混ぜて食べてくれれば一番面倒がないのだが、そう簡単にはいかないのである。
彼らは鋭い嗅覚で、異変に気付いてしまう。
確実に飲ませるには、喉の奥まで突っ込むしかない。
ちゃんと奥まで入っていないと吐き出してしまうのだ。しかしつい手加減してしまうのか、吐き出されることが多い。そして一度吐き出すと警戒され、次が非常にやりにくくなる。
一度大失敗して、泡を吹かれてしまった。恐らく薬が口の中で溶けて、その味が嫌だったのだろう。
凄い泡とヨダレであったEE:AEB64錠剤は出てこなかったが、あれは「飲んだ」とカウントしていいのだろうか?
とにかく何でも食べて欲しかったので、アレルギーも下部尿路も置いておいて、美味しそうなご飯をたくさん買ってきたのだ。
しかしどれも食べず、それは大五郎のお腹に入ることになるのだが、すっかり贅沢になっていつものご飯を食べなくなってしまった。
そうはいくかと、根競べをしているところである。
キッチンには味違いのご飯が今、4つも並んでいる。
一方娘ぶー子家の猫界も、ちょっとしたトラブルに見舞われていた。
最近新しく子猫を迎えたのだが、先住がそれを受け入れられないようで、こちらも絶食嘔吐さらに下痢という状態になっていたのである。
病院で診てもらったところ異常はないとのことで、子猫が加わったことによるストレスが疑われる。
なのででしばらく子猫を預かることにしたのだ。
これにてエルは、しばらく寝室に入れないことになった。
エルを独占できるダンナは、ちょっと嬉しそうである。