「引っ越しました」というありきたりなハガキが来てから、1ヶ月ぐらい経っただろうか。
それは、私の実家からの知らせだった。
色々あり、意図的に距離を置いていたが、まさか転居の知らせがハガキでくるとは思わなかった。
まぁ思惑通りになったと思う事にした。
会いたいとも、直接聞きたかったとも思わない。
それでも、再会がこのような形になるとは思わなかった。病室のベッドに横たわる母の姿を見て、私は少し後悔した。
3年ぶりに会った母は、まるで祖母のようであった。
単純に3年分歳を取ったこともあろうが、すっかり痩せて、すっかり病人になり、嫌でも「別れ」を覚悟させられた。
こういうのは危篤状態とは言わないのだろうか。
父も兄も家に帰っているところをみると、これでもまだその段階ではないみたいではある。
専門医が休みでいないと言うので、本格的な診断も診察も明日以降になるとのこと。
母は死んでしまうのだろうか。
いつかその日が来ることは頭で分かってはいても、実感がない。
例え疎遠になっても、母はいつまでも存在しているような気がしていた。
それが、50にもなる娘の甘えであったことを、痛感した。
GWの最終日は、長く重い一日になりそうだ。