カレーは一般的に、失敗の少ない料理だと言われているが・・・。
チャーシューを作ったのだ。
これは美味しかった。
これこそカレー以上に失敗しづらい料理だろう。せいぜい硬いか味が薄いか程度のものだ。
このチャーシューが中途半端に残ったので、ネットでリメイク法を検索したのである。そして見つけたのが、カレー。
あくまでもリメイクだ。チャーシューは具の一部でしかない。
これはルーを使わず野菜たっぷりで、ドライカレーか汁気の少ないスープカレーのようでもあった。
さらにうちに残っていたチャーシューが少なかったので、レシピよりも野菜を多くすることにしたのである。
これが最初の脱線であった。
野菜を多くしたのだ、そのぶん水分も多くした方がいいのではないか。
そのせいで、入れるべきカレー粉の量が分からなくなった。→適当。
どうせなら、もっと本格風味にしてみないか。→家にあるスパイスをどんどん足す。ガラムマサラ、クミン、カルダモン、クローブ。
これだけで、激マズになった。
まず、コクがない。コクに当たる肉=チャーシューが少なかったか。→ブイヨン、ウスターソース追加。
風味もない。→赤がなかったので白ワイン追加。
ますます悪くなった。ソース味カレー風味のワイン煮みたいな。風味がケンカしているのである。
何かないか。冷蔵庫を開けると、ビターチョコレート発見。追加。
非常に悪くなった。
何の統制もとれていない団体に、ルー大柴をぶち込んだようなものである。
甘い。それならば、→粗挽きこしょう大量散布。
もはやカレー界の戦争である。
焦るな、煮込めば味が落ち着くかもしれない。その間に救済策を考えよう。
最後の手は大柴ではない方のルーの投下だが、中途半端な使用量になることを考えるとできるだけ避けたかった。
どうも、一番いけなかったのはワインとソースのような気がする。ベースのスープが美味しくないのだ。
ええい、と、ここにトマトジュースを入れてみる。
あなたはジャンヌ・ダルクですか。マーティン・セント・ジェイムスですか。
騒がしかったカレーはすっかり大人しくなり、普通の煮込みになった。
何が勝因かは分からない。トマトの成分が、何かを上回って黙らせてくれたのだろうか。
何とか収拾がついて良かった。つくづくオリジナリティなど出すものではない。
ところで後になって思い当たったのが、チャーシューを作る時に入れたスパイスである。
恐らく「五香粉」。八角など、中華に使うクセの強いスパイスの集まりであった。
そこにワインとソースにチョコレートだ、オエッ、改めて文字にすると気持ち悪いなEE:AE5B1
トマトが偉大であった。
失敗カレーには、トマトジュースを。