休日である。
とにかくこの頃は運動を兼ねて、できるだけ外に出かけるようにしている。
そのあいだ四猫はお留守番だ。とはいっても、何かしてくれる訳ではない。揃ってゴロゴロ寝ているだけのことだ。
こんな時に困るのは、三女のエルである。
この子は他の仔と極めて相性が悪く、威嚇され、追い掛け回されるので、エルとしては一緒に置いていかれたくないところである。
なのでリビングから出してくれ、2階の寝室へ連れて行け、と鳴かれるのが常だ。
この日も出掛けようとしたところ、まずエルはリビングのドアの真ん前にピタッとお座りをして、そこが開くのをじっと待っていた。
いよいよ出掛ける段階になると、ダンナの足に何度も何度も頭をこすりつけてくる。
「エルどうしようか??」
などと言いながらドアを開けると、サッとすり抜けて2階へ走り抜けて行ってしまったのだ。
もうバスの時間が迫っている。
まぁいい。寝室のドアは開いている。
ひとりぼっちだが、外敵がいるよりはいいのかもしれない。
靴を履いていると、エルは戻ってきた。
そして玄関まで下りてきてまた、頭をグリグリと足にこすりつけてきた。
「ねぇちょっと、これ置いてくの!?」
「時間がない、早く早く!!」
バタン!
エルを挟まないように注意してドアを閉め、バス停までまたダッシュだ。
何とかバスに間に合い、座って落ち着いてみると、エルのことが思い出される。
私はエルになっていた。
あそこにも猫、あっちにも猫、黒いの、大きいの、あぁもう嫌だ嫌だ、あんなのが3匹もいたら、わたし安心して眠れないわ。
お2階にいきたいわ。
ママの寝室に行きたいわ。
ママとねんねしたいわ。
あっ、ドアが開きそう!
ここから出るのね!
行こう行こう♪
開けて~、開けて~~!!
お・ね・が・い!
開いたっ!!それ行けっ!!わ~~~~い!!
・・・・・・・・・?
あれ?誰も来ない。
ママ、ねんねは??
あっ、こんなところにいた、どこに行くの?
ねぇねぇどこに行くの?
ここ開けるといなくなっちゃうでしょ!
行かないで!!行かないで!!行かないで!!
バタン!
シーン。
こうして、小さな痩せっぽちで寂しがりやのエルは、玄関に取り残されたのである。
可哀想じゃねー!?
あの後どうしただろうか。
諦めて寝室に上がって、ひとりで寝たんだろうな。
私達は出先でもそのことが気になって気になって、早めに帰ることにしたのだった。
それがおとといの記事だ。
人生は先の読めないストーリーである。
私達はしこたま飲んで酔っ払って、家のドアを開けた。
すると、
エルが飛び出して来たのである。
待ってたのねEE:AEACB
こんなんだったら、仲が悪くても他に猫が一緒にいてくれた方が、こっちは気が楽だ。
あぁ切ない。
こういうのを「分離不安」というらしいが、こっちが子離れできないのである。
やはりエルを猫社会に入れる訓練をするべきなのだろうか。