人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

先の読めないストーリー、その裏で

休日である。

とにかくこの頃は運動を兼ねて、できるだけ外に出かけるようにしている。

そのあいだ四猫はお留守番だ。とはいっても、何かしてくれる訳ではない。揃ってゴロゴロ寝ているだけのことだ。

こんな時に困るのは、三女のエルである。

この子は他の仔と極めて相性が悪く、威嚇され、追い掛け回されるので、エルとしては一緒に置いていかれたくないところである。

なのでリビングから出してくれ、2階の寝室へ連れて行け、と鳴かれるのが常だ。

この日も出掛けようとしたところ、まずエルはリビングのドアの真ん前にピタッとお座りをして、そこが開くのをじっと待っていた。

いよいよ出掛ける段階になると、ダンナの足に何度も何度も頭をこすりつけてくる。

「エルどうしようか??」

などと言いながらドアを開けると、サッとすり抜けて2階へ走り抜けて行ってしまったのだ。

もうバスの時間が迫っている。

まぁいい。寝室のドアは開いている。

ひとりぼっちだが、外敵がいるよりはいいのかもしれない。

靴を履いていると、エルは戻ってきた。

そして玄関まで下りてきてまた、頭をグリグリと足にこすりつけてきた。

「ねぇちょっと、これ置いてくの!?」

「時間がない、早く早く!!」

バタン!

エルを挟まないように注意してドアを閉め、バス停までまたダッシュだ。

何とかバスに間に合い、座って落ち着いてみると、エルのことが思い出される。

私はエルになっていた。

あそこにも猫、あっちにも猫、黒いの、大きいの、あぁもう嫌だ嫌だ、あんなのが3匹もいたら、わたし安心して眠れないわ。

お2階にいきたいわ。

ママの寝室に行きたいわ。

ママとねんねしたいわ。

あっ、ドアが開きそう!

ここから出るのね!

行こう行こう♪

開けて~、開けて~~!!

お・ね・が・い!

パーパEE:AE595パーパッEE:AE595

開いたっ!!それ行けっ!!わ~~~~い!!

・・・・・・・・・?

あれ?誰も来ない。

ママ、ねんねは??

あっ、こんなところにいた、どこに行くの?

ねぇねぇどこに行くの?

ここ開けるといなくなっちゃうでしょ!

行かないで!!行かないで!!行かないで!!

バタン!

シーン。

こうして、小さな痩せっぽちで寂しがりやのエルは、玄関に取り残されたのである。

可哀想じゃねー!?

あの後どうしただろうか。

諦めて寝室に上がって、ひとりで寝たんだろうな。

私達は出先でもそのことが気になって気になって、早めに帰ることにしたのだった。

それがおとといの記事だ。

人生は先の読めないストーリーである。

私達はしこたま飲んで酔っ払って、家のドアを開けた。

すると、

エルが飛び出して来たのである。

待ってたのねEE:AEACB

こんなんだったら、仲が悪くても他に猫が一緒にいてくれた方が、こっちは気が楽だ。

あぁ切ない。

こういうのを「分離不安」というらしいが、こっちが子離れできないのである。

やはりエルを猫社会に入れる訓練をするべきなのだろうか。