庭でエニシダが咲き乱れている。
数年前に近所のスーパーで買ったものだが、鉢から出して地植えにしたらグングン育ち、今では巨大なエニシダ様になってしまったのだ。
育つのは嬉しくも、ここまで派手になるとは思わなかった。
結構狭い場所に植えたので、前を通るのに苦労している。
苦労しているだけではない。
なんだか薄気味悪い。
ボーボーに生えているのである。この中に何かいたらと考えると、前を通るのにも勇気がいる。
花が終わるとある程度枝を切ってしまうのだが、その時根元に空の蜂の巣が落ちていたことがあった。
蜂!
全然気づかなかったが、まさか蜂と共存していたとは、終わった事とはいえ私は恐怖におののいた。
そんな事があったので、エニシダ近辺は今デンジャーゾーンとなっており、かといって咲き乱れる花ごと切り落とすこともできない不思議なパラダイスにもなっていた。
ある日ふと見ると、エニシダの奥の壁に、蜂が巣を作り始めていた。
それを見て私は超ぶったまげた。
蜂、である。
蜂=刺す、という強いイメージは、瞬く間に私を恐怖に陥れた。
家に駆け込んで、ネットで蜂について検索しまくる。
「蜂が巣を」、このキーワードだけで、同じ状況に陥っている同志の助けを求める質問と、その回答がズラッと現れた。
それにより分かったこと。
巣を作り始めたのは、アシナガバチ。
まだ女王蜂1匹の段階で、巣ができてくれば働き蜂が増えてくる。
攻撃性は低く、共存可能。
というか、害虫を駆除してくれる益虫なので、ぜひ見守って欲しいという話も多く。
共存、無理っ!
かと言って自分で駆除も無理!!
蜂の巣は役所で駆除してくれる所もあるらしいが、東村山は業者を紹介してくれるところまでで、アシナガバチについては「見守ってあげて欲しい」と擁護派だ。
見守れません。
となるともう、業者か自力で駆除となる。
調べてみると、業者に頼むと1万近くかかってしまう模様。
まだ最初のひと穴を最初の1匹が作っている段階である。それでもその値段とは、6尾298円のイワシを買っている身には辛い。
となると自力で駆除するしかないが、その方法は大きく分けて二つ。
殺虫剤をかけるか、巣を叩き落とすか。
どっちの方法をとっても、蜂が怒り狂ってこっちに向かってくる光景が目に浮かんでくる。
日が落ちると大人しくなるというが、真っ暗ではこっちが困る。し損じては、蜂刺されの危機なのである。
しかし、世の主婦たちも頑張っている。
どうやら蜂は、時々留守をするらしいので、その隙に巣を落とすなり、殺虫剤を吹き付けておくなりしているという人が多かったのだ。
なので私も留守を狙おうと思って時々こわごわ見に行くのだが、蜂はいつも懸命に巣を作っていた。
一心不乱に、せっせせっせと巣を作っているのである。
あんな丸い穴のマンションを、あの小さな体で作り上げるのだ。
それはまだ、最初のひと部屋であった。
そんな姿を繰り返し見ていたら、殺すのも巣を落とすのも気の毒になってきてしまった。
共存できるというのだ。市もそれを推奨しているぐらいだ。悪いヤツじゃないのである。
怖くないものを私が勝手に怖いと言っているだけなのだ。
そして毒ガスで殺す。
ひ、ひどい・・・。
私はネットの相談サイトに、アシナガバチと共存できるかを問うてみた。
すぐに答えは3つ来たが、そのうち2つが「食べると美味しい」であって脱力だEE:AEB64そして、蜂も危険を感じれば攻撃をしてくるので、安全だとは言い切れないとのことだ。
私はすっかり困ってしまった・・・。
翌朝早く、蜂のことを思い出したのだ。
もう夜は明けていたが、まだ朝だ。蜂も寝ぼけているだろう。
どれ、ちょっと様子を見てくるか。
・・・留守EE:AEB30
チャンスだが、チャンスなのか!?どうするぽ子よ!?
ええい、間を取ってこうだっ!!
モップの柄でこそぎ落としてしまった。
気の毒だが、共存は無理だ。ご近所への責任もある。
しかし生きるチャンスは残す。
どこかで幸せになってくれ。
こうしてまた、庭に平和が戻った。
しかし、あの蜂は敵だったのだろうか、味方だったのだろうか。
正直、今も良く分からない。