え・・・、また・・・・・・!?
それを見て私は、愕然とした。庭に面した窓を開けようと思ったその時、目の前の木の周りを、
ハチが飛んでいたのであるEE:AEB64
私は決して昆虫などには詳しくはないが、もうそれがアシナガバチであることはすぐに分かった。
みんな違うヤツなのに、いつの間に長い付き合いになってしまったのだ。
最後のはついこの間、私がこの手でケリをつけたばかりである。
殺ったのは初めてのことだ。
共存できる益虫だという。刺されたことなど一度もない。
しかしもう、この毎年何が起こるかわからない繰り返しに、終止符を打ちたかったのである。
呆気なくカタがつき、少々嫌な感じを胸に残していたのだ。
それは罪悪感であった。
ところが、もう目の前に次のヤツがいるのである。
もはや躊躇も哀れみもなかった。
見逃してやった年もあった。
穏やかに退去いただいた年もあった。
それでもこいつらは、きちんと毎年やってきては、私を悩ませるのである。
そして今年は「ついさっき」カタをつけたはずが、まるで私をあざ笑うかのような行動。
もちろん本人にそんな意識はなかろうが、私の方はそんな意識だッ。
あんなに勇気を出して、あんなに嫌な思いをして、やっと終わらせたというのにお前は。
ハチジェットをトマトジュース収納箱の中から取り出してくる。大きさが同じだから一緒に入れているのだ。
今気づいたが、厳密にはスーパーハチジェットプラスであった。恐らく何度かのパワーアップを経ていることだろう。
ハチの姿が見えなくなってから、私は庭に出て巣を探してみた。
それは簡単に見つかった。なぜならまた同じ場所だったからである。
シャッターの真横だ。これで共存できないことは確定した。
巣はまだ直径3センチほど、卵の有無は分からないが、まだ1匹である。始末するなら今の段階だ。
せっせと巣を作っている。
ええい、ちょっと可愛いなどと思ってしまう。ちょっと可哀想などと思ってしまうじゃないか。
プイッとできるだけ冷淡にそこを去り、私は日が暮れるのを待った。
アシナガバチは日が落ちると、寝てしまうとのことである。
待てなかった。
前回のハチジェットの効果は、絶大なものであった。
女王蜂は今まさにそこにいる。
巣作りに夢中になっている。
そして、まだ巣は小さい。
一体この好条件が揃うのは、どれぐらいの確率なのか。
分からないからにはチャンスを逃したくはない。
繰り返すが、なにしろスーパーハチジェットプラスの効果は絶大なのである。
私はそれを手に取り、庭に出た。
すぐに戻れるよう、窓を半分ほど開けたまま、裸足で歩いていく。
ううっ、この間よりちょっと遠いねEE:AE5B1
いや、近づこうと思えば近づけるが、その分室内(安全地帯)が遠くなる。
一瞬で戻れるギリギリ、という地点から、思い切ってハチジェットを噴射。
ブシューーーー!!
ホントこれ凄いわEE:AEB64コイン洗車のウォーターガンみたいである。
しかし、ちゃんと当ったのかどうか、見届けることができなかった。
ジェット噴射の勢いで落ちたのか、怒りでこっちに向かってきたのかも分からない。
慌てて逃げて窓を閉める。
あいつは死んだだろうか?
死んでいなかったら、仕返しに来るだろうか?
調べたところによると、アシナガバチは温厚だが、自分や巣に危害を加えるものには容赦がないという。
私は朝が来るのを待った。
生きていたとしても、夜になれば寝るだろう。
早朝に見に行くことにしよう。
果たしてハチは、死んでいた。
小さな作りかけの巣を残し、その真下に横たわっていた。
私はこいつを知っている。
一心不乱に巣を作っていたヤツだ。
それが今、身動きひとつせず、ただ死んでいるのだ。
もうホント、これで最後にして欲しい。うちに来てくれるな。
そのハチ殺したの、私だよ。
つまり、ごめんなさい。
そんな気持ちで一杯なのである。
ゆーてもああなった以上、他の選択肢はない。
私の残虐な行為も、またここに残す。