人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

女王を討ちに

え・・・、また・・・・・・!?

それを見て私は、愕然とした。庭に面した窓を開けようと思ったその時、目の前の木の周りを、

ハチが飛んでいたのであるEE:AEB64

私は決して昆虫などには詳しくはないが、もうそれがアシナガバチであることはすぐに分かった。

みんな違うヤツなのに、いつの間に長い付き合いになってしまったのだ。

最後のはついこの間、私がこの手でケリをつけたばかりである。

殺ったのは初めてのことだ。

共存できる益虫だという。刺されたことなど一度もない。

しかしもう、この毎年何が起こるかわからない繰り返しに、終止符を打ちたかったのである。

呆気なくカタがつき、少々嫌な感じを胸に残していたのだ。

それは罪悪感であった。

ところが、もう目の前に次のヤツがいるのである。

もはや躊躇も哀れみもなかった。

見逃してやった年もあった。

穏やかに退去いただいた年もあった。

それでもこいつらは、きちんと毎年やってきては、私を悩ませるのである。

そして今年は「ついさっき」カタをつけたはずが、まるで私をあざ笑うかのような行動。

もちろん本人にそんな意識はなかろうが、私の方はそんな意識だッ。

あんなに勇気を出して、あんなに嫌な思いをして、やっと終わらせたというのにお前は。

ハチジェットをトマトジュース収納箱の中から取り出してくる。大きさが同じだから一緒に入れているのだ。

今気づいたが、厳密にはスーパーハチジェットプラスであった。恐らく何度かのパワーアップを経ていることだろう。

ハチの姿が見えなくなってから、私は庭に出て巣を探してみた。

それは簡単に見つかった。なぜならまた同じ場所だったからである。

シャッターの真横だ。これで共存できないことは確定した。

巣はまだ直径3センチほど、卵の有無は分からないが、まだ1匹である。始末するなら今の段階だ。

せっせと巣を作っている。

ええい、ちょっと可愛いなどと思ってしまう。ちょっと可哀想などと思ってしまうじゃないか。

プイッとできるだけ冷淡にそこを去り、私は日が暮れるのを待った。

アシナガバチは日が落ちると、寝てしまうとのことである。

待てなかった。

前回のハチジェットの効果は、絶大なものであった。

女王蜂は今まさにそこにいる。

巣作りに夢中になっている。

そして、まだ巣は小さい。

一体この好条件が揃うのは、どれぐらいの確率なのか。

分からないからにはチャンスを逃したくはない。

繰り返すが、なにしろスーパーハチジェットプラスの効果は絶大なのである。

私はそれを手に取り、庭に出た。

すぐに戻れるよう、窓を半分ほど開けたまま、裸足で歩いていく。

ううっ、この間よりちょっと遠いねEE:AE5B1

いや、近づこうと思えば近づけるが、その分室内(安全地帯)が遠くなる。

一瞬で戻れるギリギリ、という地点から、思い切ってハチジェットを噴射。

ブシューーーー!!

ホントこれ凄いわEE:AEB64コイン洗車のウォーターガンみたいである。

しかし、ちゃんと当ったのかどうか、見届けることができなかった。

ジェット噴射の勢いで落ちたのか、怒りでこっちに向かってきたのかも分からない。

慌てて逃げて窓を閉める。

あいつは死んだだろうか?

死んでいなかったら、仕返しに来るだろうか?

調べたところによると、アシナガバチは温厚だが、自分や巣に危害を加えるものには容赦がないという。

私は朝が来るのを待った。

生きていたとしても、夜になれば寝るだろう。

早朝に見に行くことにしよう。

果たしてハチは、死んでいた。

小さな作りかけの巣を残し、その真下に横たわっていた。

私はこいつを知っている。

一心不乱に巣を作っていたヤツだ。

それが今、身動きひとつせず、ただ死んでいるのだ。

もうホント、これで最後にして欲しい。うちに来てくれるな。

そのハチ殺したの、私だよ。

つまり、ごめんなさい。

そんな気持ちで一杯なのである。

ゆーてもああなった以上、他の選択肢はない。

私の残虐な行為も、またここに残す。