人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

いい人がリサイクル

父がいない隙に、実家に行ってきた(笑)

腰痛が辛いようで、できないことが増えてきた母である。こまごまとした手助けに行ってきたのだ。

しかし行く前から、不安が募っていた。

「それがね、さっき、古着を持って行ってくれるって人から電話があって・・・。」

ああ!?またそれ!?

もう、何度も何度も何度も何度も何度も言ってるじゃないか、そういう類は一切断れ、耳を貸すなとEE:AE473

こんなに無力を感じたことはない。一体これまでの失敗は何だったのか。

「だってその人、リサイクルやってる人なんだって・・・。」

そりゃそうでも言うでしょうよ、他に他人の古着なんか欲しがる理由が浮かばない。

しかし問題はそこではない。

誰が何のためにこのご時勢、わざわざ家まで来て古着を持って行く!?

私は季節の変わり目に、毎度古着屋に大量に服を持ち込んでいるが、金にならんものがほとんど、残りは処分である。

「もったいない」と思うのは誰しも同じ、古着屋には常に古着がザックザク溢れていて、「売り物になる」というレベル自体が上がっているのである。

つまり、古着屋は困っていないのだ。他人の家をまわるほど。

ということは、他に魂胆があると考えた方が早い。

もちろん、全員が悪い人ではないかもしれないが、先にそれを見極めるのは困難である。全員悪い、と考えたほうが安全なのである。

「でも、ちゃんと電話番号も教えてくれて、住所も分かるわよ。」

すぐにトンズラします。

「クーリング・オフもできますって。」

クーリング・オフにできない商品も多数ございます。

そもそもなんで古着の回収にクーリング・オフ??

「でも、とってもいい人だったわよ。」

ガクー。最後にはいつもこれだ。これを聞くと、本当にガックリとくる。いい人に見えなきゃ、商売にならんでしょうが。

「娘が持って行くことになったと言ってEE:AE4E5」声がひっくり返るところであった。無駄に高い声を出してしまった。合唱でなぜ出ない。

それでもしばらくは「だって・・・、」とモゴモゴ繰り返していたが、ラチが開かないので「じゃあどんな目にあってもいいって覚悟ができてるならご自由に。」と言ってしまった。

昔の母、そっくりである。

厳格な人であった。

そして時に、驚くほど冷たかった。

自己嫌悪。

母の古着は、私が引き取る事にした。

実家に行くと、大きな風呂敷包みが部屋の真ん中に置いてあったのだ。

風呂敷とは、昭和初期なアイテムである。しかし実は、我が家でも良く使っている(笑)昔は良く頭に巻いたりしたものだ。

その中には、古い和服が包まれていた。

いかんせん古い。

保存状態も良くなかったようで、シミ、虫食いだらけであった。

こんなものを大切に今までとっておいた母が悲しい。

中には母の母、つまりもう亡くなった私の祖母が刺繍をしたという帯もあり、ますます悲しくなった。

刺繍自体はとても綺麗なものである。機械で縫ったと言われれば、信じてしまうほどだ。

金色の刺繍糸はまだ美しく輝いており、ちょっとした芸術品のようでもある。ただ他の部分はすっかり色あせてしまっていた。

「・・・これは・・・、何とか別のものに再生できないか考えますEE:AE4E6

何のあてもない。でも、そう答えるより他に、言葉を思いつかなかったのである。

重い宿題ができてしまったEE:AEB67

「じゃあついでに、他の服も見ていってよEE:AEACD」なんか母の方が悪徳業者みたいだな(笑)

今度はよそ行きの服ばかりで綺麗なものが多く、引き取り甲斐がある。

中には蛍光グリーンに黒の水玉、というスーツがあって、ぶったまげた。飲み屋のママが着そうな派手な服である。

今度厚化粧でこれを着て、ダンナを出迎えてみたい。反応が楽しみだ。これも持って帰る。

「なんかね、来年の5月ぐらいに死にそうな気がするのよ。」

母は腰痛がひどくなると、弱気になる。

それにしても今回は具体的な数字が出てちょっとびっくりしたEE:AE5B1

親の弱気は子供には堪えるのー。

頑張れというのも酷だし、もう諸悪の根源の腰痛、何とかならんのか。

私にできることは、笑わせるぐらいである。

病も気から。

これからもちょいちょい笑かしにいくとする。