眠い。
薬がだんだん効かなくなってきたのか、また寝入りばなに目が覚めるようになってしまった。
ただそのまま朝まで、というような事はなく「また起きちゃったよ」という程度なのでまだいいが、今朝は朝方、激辛ラーメンでハラを壊して目が覚めてしまったのであった。眠い。
しかし、病院の予約が入っていたのだ。
2週間も待ったのだ、眠いというだけでキャンセルにしたくはない。
眠いという不快感と二度寝ができない怒りで、今朝は非常にご機嫌ななめなぽ子であった。
今日の病院は西武池袋線の「富士見台」というところにあったが、なぜそんなところにまで行ったのかというと、そこの先生が味覚障害の名医だというからだ。
相変わらず口の中の異変は続いているが、味覚障害というのはその辺の耳鼻科で診断がつかない事も多いらしいので、そういう専門の先生のいるところを探したのである。
富士見台の駅を降りると、小さな町であった。
私は病院までの地図を頭の中に叩き込んで行ったが、想像したものの0.6ぐらいのスケールである。
そして着いた病院も、小さな町医者であった。
・・・そして果たして名医も、小さなおじいちゃんであった。
誰かに似ているとずっと考えていたが、家に帰ってから思い出した、百人一首の絵札の誰かだ。もっと明確なところでは、笑点に出ている桂歌丸。
小さな町医者の小さなおじいちゃんという過去の不安が蘇る。
いやいや、おじいちゃんということはそれだけキャリアがあるんだから、名医である可能性が高い。今回はネットの味覚障害界でも、ずいぶん名前が挙がっていたじゃないか。
しかし、コミュニケーションに若干サビが出ているので、その辺はこちらが油をさして答えなくてはならない。
具体的には、先生がどんなにゆっくり喋っても最後まで聞いてから答える、同じ質問をされても初めて聞いたように答える、大きな声でゆっくり喋る、しかし長くならないように要点を押さえて。
主に、味覚についての質問だ。
私の場合、味が分からないとかおかしいとかではなく、普段から苦い味がしているというタイプである。
食べるものは普通に美味しく食べている。だから別に痩せもしない。
先生はまず耳を覗き、鼻を覗き、舌を見て写真を撮った。
ここからがエキサイティングだったが、直径5ミリほどの紙のようなものを舌に載せられ、どんな味がするのかを答えていく。
舌を出していて喋れないので、「甘い味がする」「塩っからい味がする」というような文字を指で指すのだ。
ところが驚いたことに、ほとんどの味が分からなかった。
「塩っからい」以外はほぼ、「分からないが何かの味がする」なのである。
ただ、案外こんなものなのか、「まぁまだそんなにひどくはないですよ」ということであった。そうだろう、昨日のラーメンは美味しかった。
次に、唾液の量を量ると言って、10分間ガムを噛んだ。
出てきた唾液は飲み込まずにコップに出し、それを量るのだが、娯楽のないガム10分は長かった。危うく気がそれて何度か唾を飲み込みそうになった。
こちらの結果は、単位は忘れたが、10以上あれば良いというところを11という結果で、ギリギリセーフとのことである。
ただ個人差も大きいので、最終的には血液検査の結果と合わせてトータルでみることになるそうだ。
一番多いケースが亜鉛不足とビタミンA不足とのことだが、これは血液検査の結果が出ないと分からないのだ。
なので現時点ではハッキリ言えないが、食生活とタバコがよろしくないだろうね、と言われてしまった。
念のため、食生活については「1日2食の日が多い」と言っただけであり、タバコも「気まぐれに週に10本ぐらい」程度である。
その代わりに「週末は相当お酒を飲みます」の部分はセーフであり、食生活とタバコが味覚障害に及ぼす影響に驚きだ。
最後に看護婦さんは、「適度にお酒飲むのは大丈夫ですよ。」と私の気持ちを見透かしたように言った。
適度かどうかは置いておいて、医者はちょっとでもリスクのあるものは「ダメダメダメ!!」というものなのだ。「たくさん飲む」と言った私に「ダメ」と言わなかったのだから、お酒はたくさん飲んでいいと解釈した。
最終的な結果は来週以降だ。