疲れが抜けんEE:AEB67
朝起きれんEE:AEB67
寝坊しつつ辛うじて手抜きの朝ごはんと弁当を出すと、洗濯機を回しながら横になる。
そうだ、病院での検査の結果が出ているはずだ。午後早くに行こう。
そして洗濯を終えて病院のHPを見ると、げげっ、午後は3時からだ、遅すぎる。
時計を見ると、10時半。
いそげぇEE:AE4E5急げば午前の部に間に合うかもしれないぞ、西武池袋線富士見台。
10分で支度をして出た甲斐あって、11時半には富士見台に着いた。
しかしここから1時間半待ちである。
かなり待つけどいいかと聞かれたが、いいも悪いも1時間かけてバスと電車を乗りついてきたのだ、手ぶらでは帰れん。
「待ちます。」と言って、持ってきた本を読み始めた。
それも読み終わってしまい、今度は待合室にある雑誌を手に取る。
オレンジページ、料理のレシピ本、旅行雑誌。
それらもあらかた読んでしまうと、下のほうから動物雑誌が出てきたのだ。
表紙は猫。
おーおー、こういうのが読みたかったね。
見たこともないマイナーな雑誌だったが、専門誌寄りのちょっと堅めのものである。
最初の方のページはキツネの一家の特集になっていて、カメラマンが、とあるキツネの一家を追いつつ様子を見守り、写真を撮り続けていた。
プロが撮る写真である。野生のキツネたちがイキイキと写し出され、思わず顔もほころぶ。
その家族は母親と4、5匹の子ギツネで構成されていたが、子ギツネの中に手足の先だけ白いのがいて、カメラマンは愛着を感じたその子に「シロタビ」と名づける。
しかしだ。
しかしなのだ。
ある日「シロタビ」は車にはねられて死んでいた。
後から気づいて集まってきたキツネの家族は「シロタビ」の死が理解できず、鼻先で押したり噛んだりするのだが、「シロタビ」は動かない。
最後には母親がくわえて連れて行ったと言うが、「シロタビ」の周りに集まって困惑しているキツネの家族の写真が載っており、私はかなり暗い気持ちになった。
知りたくなかったEE:AE4E6
それもこれも1時間半も待たされるから、最終的にこれを読む羽目になったのだ。
雑誌置き場の下の方に置いてあり、さもトラップのようである。
私はこの本をここに置いた人間と、「シロタビ」をはねた人間を呪った。
肝心な検査の結果だが、やはり亜鉛不足による味覚障害ということで、薬を処方された。
原因を特定するために、一番怪しいと思われる食生活について調べられることになってしまったEE:AE4E6
一週間、一日三食分おやつも含めて、食べたものを書き出すのである。一番避けたかった事態だ。
こんなもの、正直に書いたら突っ込みどころ満載である。
かと言って嘘を書いては治療にならない。
ならば嘘にならないように食生活を改めて堂々とそれを書くしかないが、その一週間が終わったらすぐにもとに戻ってしまいそうである。
それでは意味がない。
確かに嘘にはならないが、演技の一週間になってしまう。
調査用の用紙と一緒にもらった資料には、亜鉛を多く含む食材が載っていたが、ダントツのカキ以外はどれも大した量は摂取できず、種類は覚えきれないほどある。
こういうのを考えて食事を摂るとか、本当に苦手だEE:AE4E6
しょうがないので朝と昼は1パターンだけ考えて、それをくり返し食べることにする。
というか、そもそも朝ご飯はあまり食べなかったので、そこにこんな義務感が発生するとは苦痛である。
昼だってインスタントラーメンでいい、いや、「がいい」のに、あぁもうここへきてこんな事になるとは。
・・・などと考えながら帰り道を歩いていた。
そこへ先ほどの「シロタビ」の悲劇が思い出され、なんともやりきれない気持ちである。
あぁでも、私の味覚障害は治る可能性があるが、「シロタビ」はもう戻ってこないんだな、などとドツボにはまり、もう今日は最悪である。
10時半に家を出たが、帰ったら3時半だ。疲れて寝てしまった。
面倒なことは明日考えることにする。
可哀想なことは忘れることにする。
今日は早く寝ることにする。
みなさん、また明日。