人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

深夜の、ふたつのボス戦

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今となってはいつものことだが。

午前1時、私はまだゲームのコントローラーを握っていた。

翌日もダンナは出勤なので夜更かししている場合じゃないが、飲んでいたので気が大きくなっていたのだ。

もうひと勝負、いってしまえ。

長丁場は分かっていたのだが、止められなかった。

今私がプレイしているのはRPGというジャンルで、キャラクターを育てながらストーリーを進めてくというものである。

モンスターを倒すことでキャラは育っていくが、ストーリー上、時々強いモンスターが配置されている。

ボス、大ボスなどと呼ばれているが、面倒でも倒さないとストーリーが進まないことが多く、そのために日々ザコを倒してキャラを育てているのである。

昨日のボスはストーリーとは関係のない、避けて通れるボスではあった。

しかし全滅させられて、少々ムキになっていたのだ。飲んでたし。

2回目は健闘してあと少しというところまでいったが、1時間かけてやはり全滅した。

2時だ、もう寝ようと電源を切ろうと思ったら、次は娘ぶー子だ。

彼女は違うゲームをやっていたが、ボスどころかストーリー上最後の大物・ラスボスを控えており、「今夜じゅうに終わらせてやるEE:AE4E5」と息巻いていた。

確か「龍が如く」は喧嘩上等のチンピラゲームだったはずだが、今回の「見参!」の主人公は宮本武蔵であった。

彼女は私と正反対で、考えながら進めていくRPGよりも、反射神経を駆使してリアルタイムに進むアクションゲームを好む。

努力や面倒は嫌いなので一番易しいモードでプレイし、サクサク進めていた。

そこに、育てる楽しみやキャラへの愛着はない。

敵をザクッと斬るその瞬間だけを、刹那的に楽しんでいるのである。

ラスボス間近なのは、傍目からも分かった。

要所要所でボスを倒し、先に進んでいく。

一番簡単なイージーモードを選んだだけあって、強い武蔵だ。ストレス知らず。母親としては困難を乗り越えて強くなって欲しいものだが。

「あれ?」

突き当たりには石が積み上げられ、進めなくなった。

彼女は無言でスマホを手に取り、武蔵は放置された。

進めないはずはないのだ、どこかに何かが隠されたりヒントがあったりするはずである。

代わりに私がコントローラを取り、武蔵を操作する。

「ハイハイハイ、爆弾ね、さっきの人から爆弾もらってくるよ。」

えっ、もしかしてスマホで調べてたの!?あんた、全然これっぽっちも考えなかったねEE:AEB64

「ハイ、行きましょ、次、次。」

早い・・・。何というか、彼女は本当に楽しんでいるのだろうか。工場の流れ作業のようである。

ボスが出るたびにムービーが挿入される。

その間プレイヤーは一切の操作はできず、映画のようなムービーを鑑賞しつつストーリーの展開を追うのだが、ぶー子は全てスキップした。

ええっ!?ここ飛ばしたら、話が全然分からなくなるじゃないか。

どうでもいいらしい。

彼女にとってゲームとは、「気持ち良く倒す」、その一言に尽きるのである。

ところでエンディングがクソだったのでネタバレさせるが、最後は武蔵が「ここはいいから俺に任せておけ」的に仲間を逃がして終わる。絶対に勝てない人数である。

ありがちな安っぽいカッコつけに萎えて終わりだ。

ぶー子はこのゲームをやれと私にずいぶん勧めたが、このエンディングのために努力する(私はぶー子と違って努力をするのである)気にはなれない。

気がついたら3時を回っていた。

かたや気持ち良く全てのボスを倒し、かたや1時間かけてひとつのボスに敗れた夜であった。