たった今、読み終わった。
すがすがしいエンディングだが、泣けた。
絆は遺伝子を超える。
「見ろよ、仁リッチ」。
私が本を選ぶときは、適当である。その場の気分だ。
タイトルでまず手に取り、簡単にあらすじを見る。
これが推理小説だとは思いもしなかったが、読んでみれば極上のヒューマンドラマが詰まっていた。
推理小説が苦手でも、「いかにも」という感じがなく、読みやすい。
気がついたらもう、完全に惹きこまれていた。
春と泉水は仲の良い兄弟だったが、春の出生には不幸な秘密があった。
それゆえに春は、頑なまでの独特な倫理観を持っていた。
そんな春が、まるで謎解きゲームのような連続放火事件に、兄の泉水を巻き込んだのだ。
犯人を捕まえよう。この事件にはルールがある。
この事件の謎解きだけなら、ただの推理小説である。
しかし、遺伝子レベルを超える家族愛が、そこに感動の物語を織り込んでいる。
また、気の利いた会話のやり取りが小気味良く、言葉そのものを楽しむことができた。
この人なら、どんな話を書いても楽しいのではないだろうか。
他の作品も読みたくなった。
最高。
ぽ子のオススメ度 ★★★★★
「重力ピエロ」 伊坂幸太郎
新潮文庫 ¥629(税別)