人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

重力ピエロ / 伊坂幸太郎

たった今、読み終わった。

すがすがしいエンディングだが、泣けた。

絆は遺伝子を超える。

「見ろよ、仁リッチ」。

私が本を選ぶときは、適当である。その場の気分だ。

タイトルでまず手に取り、簡単にあらすじを見る。

これが推理小説だとは思いもしなかったが、読んでみれば極上のヒューマンドラマが詰まっていた。

推理小説が苦手でも、「いかにも」という感じがなく、読みやすい。

気がついたらもう、完全に惹きこまれていた。

春と泉水は仲の良い兄弟だったが、春の出生には不幸な秘密があった。

それゆえに春は、頑なまでの独特な倫理観を持っていた。

そんな春が、まるで謎解きゲームのような連続放火事件に、兄の泉水を巻き込んだのだ。

犯人を捕まえよう。この事件にはルールがある。

この事件の謎解きだけなら、ただの推理小説である。

しかし、遺伝子レベルを超える家族愛が、そこに感動の物語を織り込んでいる。

また、気の利いた会話のやり取りが小気味良く、言葉そのものを楽しむことができた。

この人なら、どんな話を書いても楽しいのではないだろうか。

他の作品も読みたくなった。

最高。

ぽ子のオススメ度 ★★★★★

「重力ピエロ」 伊坂幸太郎

新潮文庫 ¥629(税別)