人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

12時を越えたシンデレラ

二日酔いの顔を鏡で見ると、むくんで山崎邦正みたいな顔になっている。

ひどい。

それを言うとみんな良く笑うので、本当に似ているのだろう。

自分だってそう思う。

しかし一日二日の辛抱だ。

明けない夜はない。

もとに戻らない山崎邦正もないのだ、本人以外。

ところが山崎邦正は抜けたが、元通りの顔にはならなかった。

元に戻らないのは1ヶ所だが、重要な1ヶ所である。

そもそも私の目は一重瞼だったが、1、2年前に突然片方だけ二重になったのだ。

風邪を引いて治ってみたら、顔の右半分だけ爽やかな感じがしたのだが、それからである。

完全に出来上がるまでには時々元に戻ったりして数ヶ月かかったが、最終的には右目だけ二重になったのである。

世間ではわざわざ二重瞼をつくるグッズを売っている。

高いお金を出してリスキーな手術をする人もいる程なのに、勝手に出来上がってくれたのだ、こんなに喜ばしい事はない。

そういえば、やはり一重だった兄も、いつの間にか両目とも二重になっていたのだ。

なぜか?

それがわかれば多くの人を幸せにできる気がするが、私が出した結論はあまりハッピーなものではない。

「老化」meets「不摂生」の結果である。この二つの組み合わせが、恐らく絶妙だったのだろう。

二重瞼の兄も、カッコ良くなったというよりも、くたびれた感じであった。

たまたま私のきっかけは風邪だったが、きっとその「やられ」具合が、日ごろの不摂生で参った状態と重なる部分があったのだろう。

私の不摂生はとどまる所を知らなかったが、それにより左瞼もだんだんヨレヨレになってきて、二重まであと一歩というところまできていた。

飲み過ぎて、グッタリして、その回復を待たずにまた次の酒が入り、ジャンクフードを薬代わりに食す。

この頃、酒を飲むだけで本当に疲れていた。40過ぎたらあれはスポーツに認定して欲しいぐらいだ。

お腹ばかりやたらと張りが出て、顔はどんどんしぼんでく。

無様だが、瞼は着実に二重への道を歩んでいたのだ。

それが、ここ2週間で一重に戻ってしまった。

飲み過ぎれば一時的に邦正化はするが、それは次への更なるしぼみへのステップなのである、すぐに二重に戻るはずであった。

なのに、戻らない。なぜだ。

不摂生の逆であった。

ダンナが繁忙期に入ったために晩酌する暇がなくなり、週末も休日出勤のために深酒の日が減った。

酒さえ飲まなければ、真っ当な生活ができるのである。なかなか優秀な日々を送っていたと言いたいが、そのせいでお肌が元気になってしまったのだろうか。

複雑な気持ちだが、健康の証だ。・・・とでも思わないとやってられん。

つかの間の半シンデレラを経験できただけでも、良しとしなくては。

とは言え、ダンナは気づかなかった程の変化だ。健康と引き換えにするには軽過ぎるシンデレラであった。