もう歳をとる事に不安はない。
・・・などとほざいたのは、今年の誕生日であった。
そもそも歳をとった自覚がなかったのである。
その時々でしたい事だけをしてきたのである、竜宮城生活であった。
それは何年も何十年も変わらず、私は酒を飲み、美味いものを求め、惰眠を貪り、本を読み、音楽を聴いてきた。
もちろん時には反省したり頑張ったりもするが、この世の喜びの前には些細なことである。
時々バチもあたるが素直にそれを受けるだけで、自分の老いとは別次元の事であった。
つまり、何にも考えていなかったのである。
能天気に「今」だけを生きてきた。
良く「物覚えが悪くなってきた」「体力が落ちてきた」などと言って年齢を感じるという事を聞くが、私の場合、もともと物覚えが悪く、体力も乏しかったのである。
比べる対象の過去の自分が小さすぎるので、それ以上悪くなりようがないのだ。
それ以上、悪くなりようがない。
しょうもない話だが、お陰で自分の退化を感じないで済んでいる訳だ。
しかし、見た目は嫌でも変化する。
白髪は多くなるし、あちこちの皮膚がタルんできたような気がする。
だから何だというのだ、相変わらず酒は飲めるしロックは心を癒す。
昔話を見よ、欲をかかないバカは幸せになれるのだ。
適当に幸せだったのである。
現実を見ないバカは。
ボクササイズEE:AEAABの日であった。
「筋肉痛になった人~!?」
最初にインストラクターが私達に聞き、半数ほどが手を挙げた。
フフン、こんな程度でなるかいな、ちょっと優越感。
今回も楽しんで帰らせてもらおうぞ。
・・・という心の声が聞こえた訳じゃなかろうが、冗談じゃない、今日はセンセ、本気モードなりEE:AEB64これに比べたら先週のは単なるウォーミングアップである。
キツかった・・・。ジョギングやってなかったら途中でリタイヤしていただろう。
しかし周りには、ついていけないような人は見当たらなかった。
中にはどう見ても60代でしょ、って人も何人かいたが、動きを間違える事はあっても止まる事はなかった。
浦島太郎、現実に帰る。
ここにいる人達は、こういうのが好きな、いわゆる普段から体を作っている人なのかもしれないが、逆に言えば、そういう意識をなくせばここから脱落するのである。
竜宮城には、運動する人などいなかったのだ。
知らなかった、体力や反射神経は確実に衰えるものなのである。
このプログラムが終わったあとの、新しいプログラムの募集があった。
ボクササイズはもうないのであまり真剣に考えていなかったが、エアロビでもやってみようかと思う。
エアロビ。
この言葉の響きに老化を感じるのは、私だけだろうか。