体調不良、というのとはちょっと違うのだろう。
疲れもあるだろうが、1つライブが終わり、つまり2つ分のバンドのライブが終わり、腑抜けてしまったのか。
何もやる気にならず、ホゲ~と一日。
気分の浮き沈みが激しい性格だとは自覚しているが、やはり落ちる時はキツい。
しかし、終わりはある。
曖昧な理由で沈んだ時ほど、回復は早いのである。
そんな重い気分と体をまだ引きずっていた、今朝。
それでもボクササイズに行かなくてはならない。
休もうか迷ったが、4回しかないうちの貴重な1回を「重い」という理由だけで休むのはもったいないので、嫌々行ってきたのだ。
カーステレオのスイッチを入れると「お」、大好きなレッド・ツェッペリンのベストが流れ出した。
が、「おEE:AE4E6」、曲は「Since I've Been Loving You」、つまりこちらも重いバラードであった。
いい曲とはいつ聴いてもいいものだろうと思っていたが、時と気分を選ぶ曲もあると知った。
こんな気分の朝からマイナー・ブルース。か~、キツ。
仕事だとか運動だとかパワーを使うものというのは、気力が大きく作用するものである。
どちらも嫌々やるほど苦痛が増し、パワーを消耗し、疲弊する。
ポジティブに挑むべきだが、フニャフニャと動きだしたボクササイズは事のほかキツかった。
老いも若きもいる集まりだ、体力に差がある事を考慮してか、先生は時々「余裕のある人はここをこうして!」とか「できない人はやらなくていいですから!」というような事を言う。
しかしそう言われると「老い」ではなく「若き」でありたいと思う気持ちが、難易度の高い動きを選んでしまうのだ。
つまり、気が付いたら私は「挑んで」いた、「ポジティブ」に。
「今日はすごく動きます。」と最初に先生が言った通り、今日はすごく動いた。
何となく気分も良くなって来たが、このあと所沢の西武にまで行って、お歳暮を贈らなくてはならない。
う。
上向いてきた気分と所沢西武が、天秤にかけられるように私の気持ちを揺らして、ちょうど真ん中ぐらいで止まった。
良し、深い事は考えずに、ただアクセルを踏もう。
アクセルを踏む。
明るい日差しの中、車は走り出す。
フフン、悪くないね、BGM、カモン。
・・・それはさっきの「Since I've Been Loving You」の続きであった。
家からスポーツセンターまでが近いので、1曲聴き終わる前に着いてしまったのだった。
天秤にかかった所沢西武の重みが、急に増してくる。
はぁ面倒だ、駐車場に停められるのか、送り状の住所、ちゃんと書けるだろうか。
ダメだ、このままでは今日も腑抜けになってしまう、そうだ、いい事を考えた、お歳暮の手続きが終わったら、洋服買いに行こう!
プロペ通りに安い洋服屋があったはずだ。(注:高いとまたテンションが下がるため。)
プロペ通りに安い洋服屋は、あった。
安いし、可愛いのを取り揃えているし、種類も多い。
しかしだ。この頃特に思うのだが、どれも着たいと思わないのである。
私には確固として着たいスタイルがあるのだが、それはなかなか売っていない。
なぜなら恐らくそれは、時代遅れだからである。
どの服を見ても魅力を感じないのは、私が時代の流れについて行っていないからであった。
かと言って着たくもない服を買う気にもならなかったので、パジャマ用に700円のスウェットをひとつ買った。ますます気分が暗くなった。
このままだと腑抜け確定なので、私はさらに足を延ばしてダイエーに行った。
ダイエー。
ヨーカドーと同じ響きを持ったそこにも、当たり前だが私の時代に合ったものはなかった。
その代わりに、ブーツを1足買った。
恥ずかしながら、私の希望しているスタイルは「綺麗」とか「可愛い」の路線ではなく「カッコイイ」なのだが、靴は比較的カッコイイのがあるのである。
なので私の手持ちは靴が多い。靴ばかり買うので、怒られる。
ちょっと気持ちが晴れた。買い物、最高。買い物依存症の気持ちが良く分かる。
実は西武にはVIVA YOUのかっこいいスタジャンを売っていたのだが、手が出ないのは分かっていたから値段も見れなかった。
ああ、金が欲しい、こうなったら社員でバリバリ働いて好きなものを好きなだけ買う人生に転向するか。
ああ、この靴もダンナの金で買うのか。あとで報告しなくてはならない。
気が重くなってきた。
そうだ、去年会社の忘年会でもらった「課長賞」の5千円がまだある!!
どうだッ!!これは私のお金だ、これならやましくはないぞ!!
「ブーツ買ったぞEE:AE595」極貧ぶー子にメールする。ちょっと優越感。
給料日が来れば立場は逆転するのだ、今のうちにせいぜい威張っておこう。
逆転したらゴマをすって何かねだってやろうと思っているので「履いてもいいよEE:AE468」も付け加えておいたが、靴を見たぶー子は「ステッチがババ臭い。千円ぐらい?」と言い放った。
こ、これは、なけなしの5千円の5分の3、つまり3千円も払って買ったのだ。
ちなみにダンナも「千円でしょ。」とこともなげに言った。
千円に見えるものを3千円で買った事も、千円程度の靴しか買わないと思われている事も、ステッチがババ臭い靴を買った事もショックだが、こういう類のショックは私を落とさない。
むしろ「なにを~!?」というエネルギーに変換され、体にパワーを蓄えるのである。
かくして元気だ。
気がついたら明日は金曜日じゃないか。
楽しい週末はすぐそこだ。