人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

狼と7匹の子ヤギと母トシコ

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父が旅行に行っていないうちに実家にたくさん行こうと思っていたのだが、結局呼び出された時ばかりなのだ。

つくづく親不孝である。

母が私を呼ぶ理由は主に2つ。

体力的にキツい仕事がある時かおすそ分けがある時だが、今回は前者であった。

私にとっては重くもない荷物をいくつか、2階の物置に運び込む。

普段はあの父がやってくれているのだろうか。

家の中も相変わらず荒んでいる。

一応片付いてはいるのだが、汚れが酷いのだ。

見えないのと面倒なのと気にならないのとで、このような状態になっているらしい。

「見えない」以外は私と変わらないが、見えるだけでこんなに結果が違うのか。

「見えないふり」も、大した事はないのだと自信を持つ。

物置の奥の部屋は、以前私と兄の部屋であった。

今、兄の部屋は母の部屋になり、私の部屋は父の部屋になっていた。

開け放ってあったのでちょっと中を覗くと、げぇ~EE:AEB67

父の部屋の床が、ありえないほど汚い。

他の部屋同様きちんと片付いてはいるのだが、床だけ細かいゴミが一面に溜まっており、とても歩けるような状態でなかった。

これはきっと、父の部屋になってから一度も掃除機をかけていないだろう。

この上を歩いた足で、他を歩かれたらたまらんじゃないか。

汚すぎる。

だんだん怒りがみなぎってきた。

幸い片付いてはいるので、掃除機をかければ良いだけだ。

私は母の部屋で見つけたハンドクリーナーを持ってきた。

歯が立たないEE:AEB64

ハンドクリーナーのパワー不足もあるが、クリーナーの先に付いているブラシがカーペット(床じゃない。カーペットであった。訂正。)に絡み付いていた父の数年分の白髪をかき集め、それが大きなかたまりになっていくのだ。

あまりの大きさに非力なクリーナーは吸いきれず、どんどん新しい白髪塊が生まれていく。

これではダメだ、掃除機を・・・。

母に言われた通りに物置に行くと、それは数十年前に母が騙されて買った20万の掃除機が置いてあったので脱力した。

「またこれ・・・」というか、「まだこれ・・・」というか、いい掃除機だと信じて疑わずにまだこれを使っている母が哀れである。

クソ重たくバカでかいそのドイツ製「エレクトロラックス」を父の部屋まで持っていくと、ちゃんと電源は入った。

入ったが、全くゴミを吸い取らない。

吸い口を覗きこんでみたら、なんとあふれんばかりに口元までギッチリごみが詰まっておった・・・。

手で引っ張り出せるだけ引っ張り出したが、母のことだ、本体のゴミもどうせ放置だろう。

しかしそこまではやる気にならなかったので、その状態で再び電源を入れてみた。

グオ~~ンと音ばかりはでかいが、やはりあまり変化はなかった。

そのまま吸い口に手を当ててみたら、先ほどのハンドクリーナーほどの非力でガックリだ。

「あの掃除機はもう死んでいる。」

ケンシロウのキメ台詞のように母に告げると「ええっ!?そんな・・・。」と思いのほか母はショックを受けていた。

洗脳とは恐ろしいものだ。彼女はまだあいつを愛していた。

「もうダメ、絶望的、ゴミ。」

私は洗脳を解くようにわざときつく言い捨てたが、「中のゴミを捨てたらどうかしら・・・。」などといつまでもブツブツ言っている。

誰を愛そうとそれは母の自由だが、これでは掃除ができない。

すると母は、もう1台の存在を明らかにした。

ええっ!?あったのなら早く出してよ、もぅ。

しかし私はそれを見てますます脱力した。

見覚えがある。

これはその後に騙されて買った掃除機である、30万の、バカでかい。

そうだった、スチームが出るだとか言って誇らしげに見せたっけ。

そりゃ確かに機能は凄いのかもしれないが、どうみても業務用の掃除機である。実際、学校や会社で見たことがあるような形状だ。

持ち上げればやはりバカ重く、大きいためにノズルは2つに分かれており、いちいち装着しなくてはならない。

ご自慢のスチームだが、母はやり方も覚えておらず、こんなものを80過ぎた老人に売りつけた業者に激しい怒りを感じた。

業務用だけあって、パワーはあった。

「これはね、エンジンが凄いんだってEE:AEAA6

母はご満悦だが、エンジンってEE:AE4E6

たかだか3畳ほどのスペースの掃除にいちいちこのスケールでは、掃除機を使わなくなるのも時間の問題だ。と言うか、今だってどうしているのか疑わしい。

30万の掃除機とハンドクリーナーの間に何かが足りないと、母は気づいていないのである。

恋に落ちて盲目になっている母には何を言っても無駄だろう。

もー、知らない人が来たら、絶対にドアを開けちゃいけませんよ!!

狼と7匹の子ヤギ並の話である。