ハイハイ、まだまだ続きます、「殺人者はそこにいる」シリーズ。
寝込んでいる間にガーッと読んじゃいましたEE:AE4DA
今回のレビューも、事件が変わるだけで前回・前々回と大差はありませんー。
どれを読んでも同じような感想になるかと思われ。
今回の事件も9つ。
聞いた事もなかった事件ばかりだが、そのどれも異常であったり不可解であったりして理解しがたい。
恨みがあって殺した、金に困って殺した、などというシンプルなものではないのだ。
「なんで・・・」というスッキリしない気持ちばかりが残る。
その特異性に全て紹介したいぐらいなのだが、例えば「心中」と判断された24歳のカップルは、炎上した車の車内と隣で発見されたが、全く死ぬような動機が見つからない。
事件後に少しずつ分かってくる青年の知られざる部分が、非常に中途半端でじれったい未解決事件である。
また、男癖の悪い母親に捨てられ「あんな女には絶対になるな」と祖父母に育てられた女は、自身も父親の分からない子供を生み、やがてひどい虐待の果てに死に至らしめる。
彼女の育児日記には、右のページには新しい夫との子供を慈しむ日記が、左のページには先の子供を虐待していく様子が綴られていた。
自分の母親と不仲の3人目の妻が、77歳の母親に叩き殺されるのを見て見ぬふりをした息子。
恐らく酒と一緒に飲まされた安定剤のせいか、階段で倒れているところを頭を何度も打ちつけられて絶命するのである。
こう書くと物凄い鬼姑のようだが、この姑は普段から「クソババァ」と孫と一緒になっていびられており、同居しながらもひとりだけいつものけ者にされていた。
この頃には、顔を見れば「出て行け」と罵られていたようである。
中でも19歳の女の子をレイプして火をつけた男の話には、絶叫したくなるほど怒りを覚えた。
真面目なその女子大生は、アルバイトの帰りに家路に向かっていただけである。
全く面識もない男による犯行であった。
まるで映画かドラマのような事件ばかりだが、こういう事が現実に起こっているのである。
私達はいつ加害者に、被害者になっても、おかしくないのかもしれない。
ぽ子のオススメ度 ★★★★☆
「その時殺しの手が動く」 新潮45編集部・編
新潮文庫 ¥476(税別)