「もしもし、おかーさん??いい話だよ!」
娘ぶー子から電話があったのは、昨夜の事だ。
私にはそれが何だか分かるような気がした。
いつかこんな事を言い出すんじゃないかと思っていたのだ。
違っていて欲しい。
なぜならそれは、ちっともいい話じゃないからである。
むしろ悪い話だ。
「ちょっと待ってッ。言わないで!それはもしかしてバケちゃん関係では・・・。」
「そうそう^^あのね、今日ね、先輩にちゃんと見てもらったのね。」
先輩と言うのは、我が家に「いる」と言った、ぶー子のサークルの先輩である。
霊感が強いというので時々頼まれて家を「視る」らしいのだが、なんとウチにもいるという重大発言をしたために、私は酒浸かり・不眠状態に陥っているのだ。
せっかく自分なりに折り合いをつけられそうなのに、これ以上もう何も聞きたくはない。
しかし私は予感がしていた。
散々ぶー子を「眠れなくなった」、「余計な事を言うから」と責めたのだ。
ビビりあがっている私を見て、後から「実は勘違いだった」とか「もういなくなった」とか言い出すことは予想できた。
そしてそれは的中した。
「あのね、寝室にはいないって。」
信じられませんて。
それは思いやりの嘘じゃないのですか。
ハッキリ言って思いやりになってませんが。
「でねでね、良くないのは音楽室でー、色んな人からもらった物なんかが置きっぱなしになってて何かそれが悪いオーラを出しているらしいよ。」
また片付けかEE:AEB64
しかも音楽室の散らかりようは、ハンパではない。
「ででで、強いのは私の部屋にいるらしい。」
強いの。
強いのが、いるらしい。
強いのか、ウチにいるのは。
で、ぶー子の話が嘘だとすると、その強いのは寝室にいることになる。
いや、もちろん嘘かは分からないが、嘘かもしれないじゃないか。
嘘だったらどうするんだ。
こんなの、嬉しくないぞ。
ホントは嘘なんでしょ?
嘘に決まってる。
もう私に何を言っても無駄なのである。
無駄じゃない事があるとしたら、ぶー子の話が真実であり、できれば音楽室の話とぶー子の部屋にいる話が嘘だと言う以外にないが、自分にとって怖い事しか信じられない状態なのである。
ますます恐ろしくなっただけである。
寝室を片付けて緑を置き、手をパンパン叩いたりして、少しは落ち着いていたのだ。
自己暗示だろうが、この頃肩が軽くなったような気がするし、少しずつ恐怖感もなくなっていたところにこのニュース。
私は再び奈落の底に突き落とされたのだった。
「・・・飲みます。」
ガックリと肩を落とした私を見てダンナが不思議そうにしているので、私はコトの顛末を話した。
話している間にも肩はどんどん重くなり、サーッと全身に鳥肌が立った。
それがますます私を怖がらせ、私は手をパンパン叩きながら「来ないでー!!」と連呼した。
それを見たダンナが今度は怖い思いをした事だろう。
昨夜はダンナと寝る事にした。
しかし結局、恐怖とイビキのコラボで朝まで眠る事ができなかった。
この状況を打開するには自分が強くなるしかない気がするが、ぶー子がビビッて部屋を片付け始めたら、「寝室にはいない説」にも信憑性が出てくるかもしれない。
とにかく朝までグッスリ寝たいEE:AE473
今夜もまた眠れないのかのー。