気がついたら筋肉痛である。
右腕だ。
何かしたっけ?
あ、もしかしたら。
例の音楽バーに行ってから、もう2日経っている。
今回はそう派手に酔わずきれいに帰ってきたと思っていたが、今日会社に出勤して人間らしい生活をしたら、だんだん私の認識に不安が出てきた。
腕の痛みは、ベースのピッキングによるものである。
ボウイは昔、散々弾いたので、いつものような酔っ払いのドクソ演奏にはなっていなかった、はずだったが、そんなはずないじゃないか。
何年も弾いていなかったのだ。
まぁシンプルな曲で技術よりもピッキングの体力勝負のような曲だったが、かえってこの痛みが怖い。
どんだけ弾いたんじゃいって。
だいたいあの日は他の演奏者のレベルが高く、私は絶対に浮いていたはずである。
実際、店に入った時には「今日は弾けない」と思っていたのだが、それでも弾いたということは、かなり酔っていたことを意味する。
そしてツェッペリンを歌う。
ツェッペリンだ。
「移民の歌」とかEE:AEB64
もし私が独身であったなら、絶対に好きな人には見せられない姿である。
キーボードはディープ・パープルの「ハイウェイスター」だったが、これはシンセかオルガンで弾く曲である。
それをエレキピアノで弾いたのだ。
ハードロックにピアノ。
交響曲にエレキギターを放り込むようなものだ。
しまいには誰もステージを見ていなかった。
別に見せられるようなものではなかったからそれはいいのだが、完全にただの迷惑野郎である。
私はあの夜の真実を、徐々に認めていくのであった。
そういえば、あの日家に帰ったのは2時半頃と推定されるが、素直に寝室に向かったつもりでいた。
あの夜、自分では結構しっかりしていると思っていたのだ。
「P」に行くと大概飲みすぎて悪酔いして帰ってくるのだが、珍しくしっかりしていたなぁと。
ところが娘ぶー子は言った。
「もうはっ倒してやろうかと思ったぐらい、超うるさかった。」
ちゃんと寝室に向かうには向かったらしいが、「ムチャクチャ楽しかった!!」などと大盛り上がりで騒がしかったらしい。
酔っ払いの記憶など、いい加減なものである。
結局「綺麗に帰る」などという事は、不可能なのだ。
「しっかりしていた」と翌朝思った時は、自分を疑った方がいい。
いずれにせよ、普段からちゃんと楽器の方を練習しておけば、恥は半減するのだろうが。