「じゃあお父さんはどうなの!?」
娘と妻の間に挟まれて、ダンナは冷や汗を流す。
いつもの事だ。
わがままな女同士でことごとく対立するが、最終的な選択を迫られるのはダンナである。
「え!?あ、俺は別にどっちでもいいよ、ナハハ」
そしてたいがい、どっちでもいいなどと曖昧な返事をするのだ。
「ホラ!!どっちでもいいっつってんだから、おかーさんがカラオケにすればいいだけじゃん!!」
「だから、今モンハンが入魂祭だから、ガンガン狩ってポイント入魂したいんだって!!」
「んなもん、いつでもできんでしょーが、このゲームオタク!!」
「入魂祭はいつでもやってる訳じゃない!!」
「じゃあいいよ、お父さんと二人で行く!!」
「お父さんも同じ猟団なんだから、ポイント入れてもらいます!!」
カラオケ!!
ネトゲ!!
どちらも譲らない。秋葉原の駅のホーム。
「たまに娘がいるっつーのに、そんなにネトゲがいいか!」
「たまに家にいれば、そんなにカラオケか!」
「お父さんッ!!」
「お父さんッ!!」
「いやホント、俺はどっちでも・・・。」
「もー、おかーさん!!カラオケ!!」
「モンハンの入魂、ん!?」
「!?」
「分かった。家に帰ってからすぐモンハンやるから、100ポイント入魂したら行ってもいい。」
「え~!?疲れたとかかったるくなったとかナシだよ!」
フン、言うか。
両方欲張れるなんて、言う事ナシだ。
果たしてダンナがカラオケやモンハンをやりたいのか、とうとう誰も聞かなかった。
選択は最初から「カラオケorモンハン」のみである。
「本当にモンハンやってからカラオケ行くの・・・。」
西武新宿線の電車の中で、歩き疲れたダンナが弱々しく言った。
さぁ、どうでしょうか。
あと2、3時間もすりゃ、分かるだろう。
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