人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

二者択一

「じゃあお父さんはどうなの!?」

 

娘と妻の間に挟まれて、ダンナは冷や汗を流す。

いつもの事だ。

わがままな女同士でことごとく対立するが、最終的な選択を迫られるのはダンナである。

 

「え!?あ、俺は別にどっちでもいいよ、ナハハ」

そしてたいがい、どっちでもいいなどと曖昧な返事をするのだ。

 

「ホラ!!どっちでもいいっつってんだから、おかーさんがカラオケにすればいいだけじゃん!!」

「だから、今モンハンが入魂祭だから、ガンガン狩ってポイント入魂したいんだって!!」

「んなもん、いつでもできんでしょーが、このゲームオタク!!」

「入魂祭はいつでもやってる訳じゃない!!」

「じゃあいいよ、お父さんと二人で行く!!」

「お父さんも同じ猟団なんだから、ポイント入れてもらいます!!」

 

カラオケ!!

ネトゲ!!

どちらも譲らない。秋葉原の駅のホーム。

 

「たまに娘がいるっつーのに、そんなにネトゲがいいか!」

「たまに家にいれば、そんなにカラオケか!」

「お父さんッ!!」

「お父さんッ!!」

 

「いやホント、俺はどっちでも・・・。」

 

「もー、おかーさん!!カラオケ!!」

「モンハンの入魂、ん!?」

「!?」

 

EE:AE476

 

「分かった。家に帰ってからすぐモンハンやるから、100ポイント入魂したら行ってもいい。」

「え~!?疲れたとかかったるくなったとかナシだよ!」

フン、言うか。

両方欲張れるなんて、言う事ナシだ。

 

果たしてダンナがカラオケやモンハンをやりたいのか、とうとう誰も聞かなかった。

選択は最初から「カラオケorモンハン」のみである。

 

「本当にモンハンやってからカラオケ行くの・・・。」

西武新宿線の電車の中で、歩き疲れたダンナが弱々しく言った。

 

さぁ、どうでしょうか。

あと2、3時間もすりゃ、分かるだろう。

 

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