人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

生きる目標

「何か目標ってありますか?」

唐突ではない。

ちゃんと流れがあっての質問だったが、若き新しい主任・グッティ氏が問う。

私は愕然とした。

私の人生に目標などない事も、それがどんなにつまらない人生かという事も、即座に分かった。

目標などない。

ただ生きているだけである。

私はもっとちゃんと目標を掲げ、それを目指すような人生を送るべきではないのか?

しかし、これが意外と難しい。

努力を要することにはやがて離れていってしまうのが、グータラ人間の性なのである。

かといって簡単に達成できる目標では、目標とはいえない。

強い意思を持てばいいだけだが、それがないのが分かっているから目標を立てにくいのだ。

例えば何かの資格を取るとか、毎日ジョギングして合計何キロを目指すとか、この辺は軒並み無理だ。

甘えるなと言われそうだが、私はそこそこ甘い人生でいいのだ。

時間を取らず、ほどほどの努力で達成できるものなくてはならない。

結果の大きさではない。

要はそこまでの道のりである。

何かに向かって進むことは、生活を充実させるだろう。

どうせなら家事に関することにすれば喜ばれるだろうし、喜ばれればゲーム漬けの後ろめたさが軽減される気がする。

しかし現状家事がはかどらない発端は不眠であり、これを解決しないまま家事のノルマを増やすのは難しい。

そう考えると不眠による時間不足は、多くの目標を阻むことになる。

あぁもうこのままダラダラ過ごすしかないのか。

私は仕事をしながらずっと考えていた。

タイムカードを切った後も、着替えながらずっと考えていた。

EE:AE476EE:AE476EE:AE476

時間もかからないし、酷く苦労をしない目標があるじゃないか。

ぽ子よ、

痩せろ。

体重を週に一度、表に書き出すようになってから1年半が経った。

それは減らない代わりにゆっくりと上昇していた。

そりゃそうだろう、全く節制してないのだ。

「痩せる」という目標のもとに始めた事だったが、その行為に慣れ過ぎてしまい、目標を見失っていた。

ただ数字を書くだけなんて、アホくさい習慣である。

豆乳ジュースダイエットも終わっていた。

「良く噛もう」も忘れていた。

腹いっぱい食ったら寝る。

なんて恐ろしい事を繰り返していたのか。

これでは太る一方である。

「グッティさん、決めました。私、3キロ痩せます。」

彼はもっと壮大な目標の話をしていたはずである。

ハハハと笑ったが、私は目標を見つけ、満足である。

帰りに豆乳を買った。