中毒から死に至る類の、薬や毒の解説本である。
まぁ薬も毒も紙一重である。
一定量を超えた場合どうなるか、という図鑑のようなものである。
シンナーからLSD、トリカブトに咳止めシロップ。
世の中には様々な薬=毒があるのだ。
好んでそれを体に取り入れる人もいるし、事故で飲み過ぎて中毒を起こす人もいる。
それは案外普通に身の回りにあるものもあり、思ったよりも身近な話であった。
しかし、どれも中毒の症状は似たようなもので、嘔吐、頭痛、呼吸困難、などひたすらそのオンパレードである。
そして、アヘンを摂り過ぎると脱力感、倦怠感から精神錯乱を起こす、ヘロインは禁断症状が激しく、バルビタールは幻覚、てんかんのような発作・・・とそんな情報を何ページも読んでいると、しまいには「だから何?」という気持ちになってきた。
だいたいが似たような中毒症状から死ぬ、というもので、それがハルシオンだから何だ、コカインならどうなのだ、というのである。
嘘はないのだろうが大げさに響き、「子供はタバコを吸うと死にますよ」と脅すのと似ている。
しまいには「ハイハイ、もうわかりましたよ」という気持ちになった。
そんなんで正直、たいくつな本であった。
軽く読めるようにはなっているが、専門的な知識を浅く広く知りたい人向けだろうかと思う。
ただ、歴史に残る実際に毒を使った殺人をいくつか紹介していたが、これは古いもので紀元前の話もあり、とても興味深かった。
17世紀フランスで暗黒街と貴族の間を渡り歩いたラ・ヴォワザン、16世紀のナポリ王国で、夫亡き後、男を連れ込んでは毒殺した女王ジョヴァンナ、かの有名なナポレオンも毒殺だったとの説がある。
どの話ももっと詳しく知りたくなった。
まぁタイトルやジャケットから想像するようなセンセーショナルな中味ではなかった。
救いは、絵が多かったのでチャチャッと読めたことぐらいである。
ぽ子のオススメ度 ★★☆☆☆