私はこの人を知らなかった。
本の表紙は若い外国人の女の子の写真だ。
だから私はモデルかなんかが書いた手記だろうと思ったのだ。
ちょっとヒネくれた過去があったように見えたので軽い気持ちで読んでみたのだが、内容は思ったより深く、非常に感動した。
そもそもこれは若いモデルの手記などではなかった。
この田口ランディという人は、過去に苦労をされ、心理学などを勉強して現在では沢山の本を出している人だった。
年に数回しか帰らない船乗りの父親は酒乱、兄は引きこもった末に自殺という過去を持つ。
それでも前向きに自分や過去と向き合い、沢山の気付きを得て、それを言葉にしたのがこの本である。
この本には幸せに生きるヒントがたくさん詰まっているが、押し付けでもアドバイスでもない、それはただ彼女が思ったことをそのまま綴っているだけなのだ。
等身大の自分を飾らずに出していて、そんな彼女には共感する部分が多い。
共感しているうちに、私達は自分なりの生き方を導き出していける、そんな本である。
でも、今だに私が表現の上で、こだわり続けているのは「思春期」である。
あの時代に体験したこと、考えたこと、悩んだこと、それらにようやく答えを出すために、こうして書いている。
言うなれば思春期の宿題を必死で解いているような感じだ。
あの、思春期っていう時期は、人間の人生を退屈させないためにあるのかもしれない。
私の中ではまだその宿題は解けていない。
私は、若い頃の思い出とは誰もが美しく心にしまっているものだと思っていた。
私はあの頃を憎悪しているが、こうして憎悪を自分の未来のために違う形に転換させている言葉には学ぶものがある。
この本はいつまでも手元に置いて、人生の教科書にしたい。
ぽ子のオススメ度 ★★★★★