このところ知り合った人とばかり会っていたので、久しぶりに他人の中に入って行く事にした。
また辛い目に合うのかと思うとちょっと気が重かったが、どうせ嘘の世界である。
そう割り切って飛び込んだ。
とりあえず座ってみたが、これはもう全く時間の無駄である。
こんな裸足のブサイクに声をかけてくれる人など皆無だ。
諦めて歩き回っていると、またベンチの上に立ってる人がいる。
ベンチに限らずフェンスの上や、時には中に浮いている人もいる。
どうしてそんな事ができるんだろう?
「すげー。」と彼女に声を掛けると黙ってスタスタ行ってしまった。
くそ~、女にまで逃げられたか、と思ったら「こっちこっち!!ここから乗れるよ!」と教えてくれた。
しかしやはり上手く乗れない。
「頑張れ!!」と応援して様子を見ていてくれたが、やはり優しいのは女性である。
しかし私はベンチに乗りに来た訳ではないので、こんなところで一生懸命になっている場合ではない。
彼女に例を言うと、再び歩き出した。
平日の夜中だからか、いつもより人は少ない。
もう輪になっている人達の中には入りにくいから、ひとりでボケッとしている人を探した。
見渡してみると、走り回っている人が結構いた。
私は初日を思い出した。
どうしたらいいのかわからなくて闇雲に走り回っていたのだ。
よ~し、誰かについていってみよう。しつこくね。
適当に目星をつけて、後ろをついて一緒に走った。
しばらく走ると彼は急に止まった。私も少し間隔を開けて止まる。
また、走り出す。ついて行く。
それを何度か繰り返すと、遂に立ち止まった彼が「よろしく」と言った。
突然よろしくと言われて面食らったが、「ついて来ちゃってごめんなさい」ととりあえず言ってみた。そして返って来たセリフが
「ぼく、ぶらじる」であった・・・・・。
実は結構外国人はいる。
韓国、中国、アメリカ、多彩である。
今夜はブラジルを引いたか。
「こんばんは。アイルトン・セナ?」
私の中にあるブラジルに関する情報は「アイルトン・セナ」、それだけである。
「ぼくもせな、すき」
ひらがなばかりの短い会話である。
しかしセナ以上のブラジルを知らないので、話が続かない。
「おしごと、たいへんでしょう?」と面白くも何ともない優等生のセリフを振ってみたが、やがて彼は「も ねむたい」と言って私の許を去っていった。
カタコトのブラジリアンにも逃げられ。
逃げられ記録、順調に更新中である。
次にはボーッと突っ立ってた男性の横に立った。
黙って横にずっと立っていたが、進展がないので「もう寝ますね」と言ってみた。
そうだ、そうだった、この時点では私はまだ早く寝る意思はあったのだ。
「ダメですか?」返事がないので聞いてみる。
「あと5分で3時ですが。」
そこでやっと返事があった。「そうですね。」
以上終わり。
寝ると先に言ってしまったので、深追いできなかった。
気がついたら初めての場所に来ていた。
レストランのような飲み屋のような場所だった。
その中でハンバーガーの話をしている人たちがいたので、そこに入って一緒に座ってみた。
「やっぱ、ビッグマック!」と言う人がいたので、「メガマック!」と言ってみたが、全員スルーである。
気が付かなかったのかな?と思うほどの無視っぷりである。
私はもう一度「メガマック!!」と言ってみたが、誰も反応しなかった。
世の中で一番辛い事は「無視」であると聞いたことがあるが、確かにデブだブスだと言われていたほうがまだマシだ。
存在すら無視とは辛い。
昨日最後の出会いは、話しかけている途中に離席されて終わりだ。
彼は一言も言葉を発さなかった。
世間の冷たい風をモロに浴びた日であった。
総じて女性は優しいが、私はこれからもあえて男性に挑んでいきたいと思う。
嘘の世界なのだ。
ヘコまないぞ・・・(泣)