人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

スーパー・バトル

良く寝た・・・。

良く寝た午前中であった。

そのために昨日の眠りは投げたのだ。

別にそんな必要もないのだが「寝てたまるか!!」と頑張り、朝はエルの発情鳴きに耐えた。

その甲斐あって「二度寝してもいいですよ権」を勝ち取った気分になったぽ子である。

その証拠に、今日はベッドで堂々と寝させていただいた。

今日は仕事が休みだったのだ。だから大胆な二度寝を自分に許したのでもあるが、午前を無駄にした事に違いはなく、せっかく休みだった午後も午前の家事が割り振られただけである。

しかし、初めて挑んだ家事もあった。

「買い物」である。

私は普段、仕事の帰りに食材の買い出しをして帰って来るが、ひとりの休日の午後にひとりで買い物に行ったことはほとんどない。

今日だって買い物のためだけに出るのは面倒だったが、卵を切らしていたので仕方なかったのだ。

広告を見ると、近所の大型スーパーで98円になっていた。歩いても5分かからない程近くのスーパーだ。

決まった。

時間は4時から。

ところが私は嫌なものを思い出した。

時々この卵の特売の時間に行くと、行列が出来ているのだ、店内グルグルと。

卵如きに並びたくはないが、卵に101円以上出すのはもっと嫌だ。

卵を買えないのはもっともっと嫌だったので、並ぶ覚悟で行く事にした。

一体あの行列はいつから出来ているんだろう?

250個とのことだが、何時まで卵はあるんだろう?

できるだけ短い時間で手に入れたいものだが。

4時に家を出ると、向かいの奥さんがエコバッグを持って出てくるところだった。

「買い物ですか?」と聞くと、「そう、キャベツ♪」と答えた。

キャベツ♪か。

昨日は確か250円ぐらいだったような。

安けりゃついでに買っていくか。

まずスーパーに着いて驚いたのは、自転車置き場が一杯だったことだ。こんな事は初めてである。

仕事帰りに来る時も結構混んでいるが、もっと凄いのか?

買い物カゴを取って店内に入ると、なんと卵とは別のところにも行列が出来ていた。

キャベツ♪である。

とっさに「これは早く並ばないと」と思ったが、本命は卵である。

私は急ぎ足になった。

走りたかったが恥ずかしいので急ぎ足、競歩である。

誰かとぶつかる。

向こうも必死で、お互いスルーである。

卵の最後尾はどこだ??

やみくもに歩き回ると何かの行列にぶつかった。

そのずっと後ろを見てみると、「最後尾」というプラカードを持った店員が立っていた。

私はズンズンとそこに向かい、プラ店員に「卵ですか?」と最短の言葉で質問した。

「はい、こちらにお並びください。」

そう言って列の後ろを指すが、その間にも列は伸びて行き、行けども行けども最後尾につけない。

譲っていてはラチが開かないので強引に入ったが、卵欲しさにこんなに頑張ってる自分が恥ずかしい。

あと50円も出せばこんな思いをしなくて済むのだが。

無事に卵を手に入れたが、もうキャベツ♪の余力はなかった。

買い物メモを見ながら本日の買い出しに入ったが、その時ポンと肩を叩かれ、振り向くと先程会った奥様が誇らしげにキャベツを持って立っていた。

「98円よ!2個まで買えるわよっ!!」

こんな言い方をされて、自分は卵の行列でウンザリしてしまったのでもう予定になかったキャベツなんぞの行列はゴメンだとは言えるものではない。

「ほんと??じゃあ行かなきゃっ!!」

必要以上に嬉しそうにしてしまうのは私の悪いところである。

今回はキャベツの行列の労力ぐらいで済むが、酷い時はつけ込まれてつまらん事になってしまう。

最近のつまらん事は、選挙関係の訳のわからない会に入会させられた事である。

まぁいいや。

ちゃんと食べればいいのだ、買ったキャベツを。

そうすれば250円のキャベツを半額以下で買ったという美談になるじゃないか。

しかし、2mほど進んだところで急に前の列が散った。

売り切れである。

くそ~~、いらないキャベツに並んで売り切れになるとは、何たる無駄。

私も列から外れたが、後ろにいたおばさんが「あらぁ・・・。」と残念そうに私に言った。

なぜかスーパーで「あらぁ・・・」な目に合うと、彼女たちは黙っていられないようである。

昨日も節分の豆が売り切れで、ニセ豆の前で「あらぁ・・・」と思ってたら、隣にいたおばさんが私に「あらぁ・・・。」と言った。

そこで必要以上に残念そうな笑顔を作って「残念・・・。」と返すのもぽ子である。

意外とサービス精神があるのだ。

小心者とも言うが。

安い卵を買ってキャベツも諦めたのに、4千円分も買ってしまった。

レジでぶったまげて、袋に入れるときにひとつずつ足し算してみたが、本当に4千円だった。

まんまと奴らの戦略にはまった形である。

なんで明日の晩ご飯がスキヤキに。

しかしエキサイティングな買い物タイムだった。

主婦はみんな、戦っているのだ。

私は彼らを尊敬する。

・・・が、まだ彼らを目指すには早いと思っている。