「目黒食堂」のイベント出演。
娘ぶー子の、とりあえず引退イベントになる。
食堂??
何なんだそれは?
何時からだ?
イベントって?
相変わらずぶー子はボーッとしているので、全貌がなかなかわからない。
目黒駅に着く寸前に、「自分達の出番は4時ごろ」とだけ分かった。
食堂で4時にダンス。
釈然としない。
地図に沿って行くと、地下に続く階段は行列になっていた。
スタートは3時のはずだ。
入れないほど人気のイベントではないはずだが。
とは言っても、フライヤーを見ても、何が行われるのかサッパリわからない。
「お笑い」、「ダンス」、「ライブ」のカテゴリーの中に出演者の名前が並んでいているだけなのだ。
食堂でお笑い??
行列の原因は、単にひとりひとり受付に時間がかかっているだけだったが、中もひどく混雑していた。
一応「クラブゾーン」となっていたが、小さなライブハウスの規模である。
タバコのむせ返る臭い。
ディスコやライブハウスのそれである。
そう、目黒食堂は食堂ではなく、食堂という名のライブスペースだったのだ。
とにかくすごい数の出演者で、その分、1グループの持ち時間がとても少ない。
ものの5分ほどである。
そんなんでぶー子のダンスもあっという間に終わってしまったが、あまりの混雑に身動きが取れなくなってしまった。
途中、尿意に耐えかねたダンナが決死の脱出を成功させたが、なかなか帰還は叶わなかった。
遠くにダンナの頭がひとつ、ポコンと飛び出している。
彼の存在を何とか私にアピールしているのだろうが、それは「行かれないからお前が来い」という事を意味している恐れがあるので、私は正面を見据えてそれを黙殺した。
ドリンクチケットは私の手にあり、その時私はバーカウンターのすぐ前に立っていたのだ。
あんな所まで行ったら、当分ここへは戻って来れまい。
昼に食べたしょっぱいラーメンのせいで、喉はカラカラだ。
ダンナ~、がんばれ~~。
ドリンクチケット、ここにあるぞ~~。
その後、いくつかのお笑いやダンスを見届けてから、やっとダンナは戻ってきた。
なかなか来ないので、とうとう私も首ひとつ分飛び出して、「こっちゃ来い、こっちゃ来い」と手招きしたのだ。
そうしたらワンワンと喜んでこっちゃに来たのだった。
しかし、この状態で8時までは辛い。
私は、食堂のテーブルについて、優雅に洋食をつまみつつビールのグラスを傾け、鑑賞するつもりでここに来たのだ。
ヒールの高いサンダルは足を痛めつけ、たった1枚のドリンクチケットを使うと600円のドリンクを頼むしかなくなり、もうとっとと帰りたくなった。
しかしぶー子は「せっかく2000円も払ったんだから、最後まで見ていく。」と言い張った。
そうなのだ、あり得ない事に、出演者からもチケット代を取っていた。
私達はぶー子を置いて、新宿のマンガ喫茶で待つ事にした。
またポパイである。
私達にとってマン喫は、単なる布団である。
靴脱いでグー。
疲れた。
しかしこれで最後である。
「きっと最後にはならない」と本人も先生も言っていたが、でも最後になるかもしれないのだ。
7年に至るダンスレッスンであった。
まだ上手く踊れないなりにも頑張っていた小学生の頃を思い出し、不覚にも涙が浮かんでしまった。
そして、ダンスがなくなったらさらに太るんじゃないかと言う不安がよぎり、目黒食堂を後にする時、先生に、「やめたと言ってもやりますから。またどんどん呼んでやって下さい。」と熱くお願いしておいた。
家に着いたらもう10時半だ。
マン喫で記事を入れておけば良かった。
それではグルメ&ラーメン記事もヨロシク。