仕事から帰り、リビングのドアを空ける。
この時間にはまだ誰も帰っていない。猫が3匹、いるだけである。
静かな部屋に、それは静かに落ちていた。
ベビースターラーメンである。
袋が破れて、中味が無残に飛び出している。
あー・・・、猫がやったか。
食い意地張ってるラの仕業だろう。
これが入っていた引き出しの上で寛いでいた、ラの姿を思い出す。
チッ、これは「ラーメン青葉」のベビースターなのにッ。
拾って捨てようと思ってしゃがみ込んだのだが、良く見るとそれは、とぐろを巻いていた。
は?
ちょー待った!!
これ、吐いたヤツだ!!ゲロ!!
とぐろを巻いてはいたが、ベビースター状のままであった。しかも袋の上。
ガツガツ食ってすぐさま吐いた事がよく分かる。
バカめ。
お腹をすかせたエルだけが、「ご飯ちょうだい」と言うように足元にまとわりついて来る。
ラもミも満足そうにぐっすり寝ている。
バカめ(泣)
だいたいラは意地汚いのだ。
3匹揃ってご飯を上げても、ひとりでサッサと食べ終わり、隣のミの皿を手で引っ張って行き、自分のものにしてしまう。
エルは一度にあまり食べられないので大抵残すのだが、隙あらばその残りを食べてしまう。
1日4回の食事ごとに、じっと見張っている訳にもいかないので、適当に頃合いを見計らって様子を見に行くが、何か他の事を始めてしまうと私もつい忘れてしまう。
「そういえば、猫達は?」と振り返ると、ラがミの目の前でガツガツとミのご飯を食べていたり、エルの皿がからっぽになっていたりする。
こんな時は本当に憎ったらしい。
トロいミに、チビのエルが、とても不憫だ。
ラはどんどん太っていき、歩く度に、ぶら下がったお腹がユラユラと揺れるほどになってしまった。
しかし、普段食べつけないものを食べたり、食べ過ぎたりすると、すぐに吐くのもラである。
よって、悪事のあとは大抵吐いてしまうのだが、どうせならちゃんと食ってくれればいいのにと思う事もある。
午前中に作ったポトフの鍋が、仕事から帰ると倒されていた時。
楽しみにしていたお菓子。
ベビースターは私がダンナに買ってきたものである。
ダンナはベビースターが大好きなのだ。
しかしラもミも、負けず劣らずベビースターが好きだ。
しかしみんなの好きなベビースターは、ラの胃袋に入ってから戻ってきた。
ほぐしてしまえばほとんど見分けはつかないのに、ゴミである。
こうしてラは今日も、ゴミを生産し続けている。