人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

ゴミ生産猫

仕事から帰り、リビングのドアを空ける。

この時間にはまだ誰も帰っていない。猫が3匹、いるだけである。

静かな部屋に、それは静かに落ちていた。

ベビースターラーメンである。

袋が破れて、中味が無残に飛び出している。

あー・・・、猫がやったか。

食い意地張ってるラの仕業だろう。

これが入っていた引き出しの上で寛いでいた、ラの姿を思い出す。

チッ、これは「ラーメン青葉」のベビースターなのにッ。

拾って捨てようと思ってしゃがみ込んだのだが、良く見るとそれは、とぐろを巻いていた。

は?

ちょー待った!!

これ、吐いたヤツだ!!ゲロ!!

とぐろを巻いてはいたが、ベビースター状のままであった。しかも袋の上。

ガツガツ食ってすぐさま吐いた事がよく分かる。

バカめ。

お腹をすかせたエルだけが、「ご飯ちょうだい」と言うように足元にまとわりついて来る。

ラもミも満足そうにぐっすり寝ている。

バカめ(泣)

だいたいラは意地汚いのだ。

3匹揃ってご飯を上げても、ひとりでサッサと食べ終わり、隣のミの皿を手で引っ張って行き、自分のものにしてしまう。

エルは一度にあまり食べられないので大抵残すのだが、隙あらばその残りを食べてしまう。

1日4回の食事ごとに、じっと見張っている訳にもいかないので、適当に頃合いを見計らって様子を見に行くが、何か他の事を始めてしまうと私もつい忘れてしまう。

「そういえば、猫達は?」と振り返ると、ラがミの目の前でガツガツとミのご飯を食べていたり、エルの皿がからっぽになっていたりする。

こんな時は本当に憎ったらしい。

トロいミに、チビのエルが、とても不憫だ。

ラはどんどん太っていき、歩く度に、ぶら下がったお腹がユラユラと揺れるほどになってしまった。

しかし、普段食べつけないものを食べたり、食べ過ぎたりすると、すぐに吐くのもラである。

よって、悪事のあとは大抵吐いてしまうのだが、どうせならちゃんと食ってくれればいいのにと思う事もある。

午前中に作ったポトフの鍋が、仕事から帰ると倒されていた時。

楽しみにしていたお菓子。

ベビースターは私がダンナに買ってきたものである。

ダンナはベビースターが大好きなのだ。

しかしラもミも、負けず劣らずベビースターが好きだ。

しかしみんなの好きなベビースターは、ラの胃袋に入ってから戻ってきた。

ほぐしてしまえばほとんど見分けはつかないのに、ゴミである。

こうしてラは今日も、ゴミを生産し続けている。