人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子56歳。

6年後の結論

直ちに避難。直ちに避難。直ちに建物の中、又は地下へ避難して下さい。

 

こんな警告が私に関わるものだったら、どんなに驚いたことだろう。

テレビは消してありスマホはウンともスンとも言わなかったので、この一件を知ったのは危険が去ってからであった。

 

今から6年ほど前にも北がポンポンとミサイルを撃って、北海道の方ではアラートが鳴ったこともあったようだ。

この調子で何をしでかすか分からないという不安に駆られ、東京に住んでいながらも万が一のことを考えたりしたものだ。

アラートが鳴ってからの持ち時間は5分程度。

窓のない頑丈な建物の中か地下が安全というが、それに当てはまるのはここから走って5分ぐらいの病院ぐらいだ。準備をしてから出たら、外を走っている間にタイムアップの可能性が高い。

そもそも、2匹の猫と犬だ。6年前の当時は猫4匹だったが、これも大きなネックになる。

ならば家の中で一番安全な場所に、と考えたが、どの部屋にも窓がある。

結果、当時避難場所として考えたのは、クローゼットの中であった。

これも窓と向かい合ってはいたが、3方は壁になっているし、向かい合う窓も比較的小さい。

 

ところが6年の間に我が家の状況が変わった。猫が2匹に減った代わりに、犬が増えたのだ。中型犬である。ただでさえ狭いクローゼットに、全員すんなり入るには無理がある。

う~ん、どうしたらいいものか。

 

次に浮かんだのは浴槽だ。水を抜いて蓋を被せてしまえばどうか。

しかし水を抜くのに時間がかかるし、やはりここに全員は無理だろう。

となると、2ヶ所に分散するしかないのか。ということは、犬か猫のどちらかを、私抜きで閉じ込めなくてはならない。

怖いだろうな、閉じ込め。細かいことを言えば、エルと大五郎の仲は悪いので、狭い場所では近すぎてケンカになるだろう。私がどちらかを抱いている必要がある。

となると犬を単独で閉じ込めることになるが、賢いのでその異変に耐えられるか。

もうどうやっても無理としか言いようがない。誰かにとてつもないストレスや不安を強いるしかないのである。

そんなことを考えていたら、私は大切なことをないがしろにしていたことに気が付いた。

犬猫達の幸せだ。彼らはストレスや不安といったものを望んでいない。たとえその先に死があったとしても。

死を避けたいのは、人間都合だ。

そもそもミサイルなんてものが近くに落ちたら、クローゼットに隠れたぐらいじゃどうにもならないのではないか。

どうせならその最後の5分を恐怖で終わらせるより、不安なく幸せに過ごす方がいいんじゃないか。

 

ということで、方針は決まった。

もしこの東京にJアラートが鳴ったら、死角の多い2階の廊下で犬猫にありったけのご馳走を出し、私はお酒を飲もうと思う。

何事もなかったら、そのまま祝杯だ。

 

アラート用に美酒を用意しなくては。