人間のクズ!

敵は自分の中にいる。ちょっとだけ抗ってみたくなった、ぽ子55歳。

絶望の子守歌

「あ・・・。」

反射的にゾクッとする。この曲。

エルがお世話になっていた動物病院の、電話の保留音と同じ曲だった。

クラシックの曲だ。子守歌のような。

その時私は、ホームセンターのエレベーターに乗っていた。突然のことに、心が騒ぐ。

エルは生まれたばかりのところを保護した子だ。

大病をし、障害もあり、何度も病院にはお世話になった。

しょっちゅう呼吸困難を起こしては、電話して指示を仰いだものだ。電話の保留音も良く聞いた。

あの時の思いが、曲にしっかり刻み込まれている。

有難いことに、今は元気だ。死線をさまよったこの子も、もう15歳になった。曲を聞きながら、あんな頃もあったなぁと思い返す。

今は、生きていてくれるからいい。

この曲を、エル亡き後に聞きたくはないものだ。

今の世の中には音が溢れ、容赦がない。望まないものが耳に入ってくることは避けられないのである。

いい思い出を、できるだけたくさん、色んな音に結び付けておきたい。